越境ECサイトを成功させよう!
越境ECサイトとは国境を越えた電子商取引のことを指し、新しい市場拡大の可能性を持つECサイトの姿です。日本のECサイトにも海外から多数の顧客が訪問し消費を激増させています。世界的にも越境ECによる市場の広がりは留まるところを知らず、特に日本では中国やアメリカからのユーザーによる越境ECが増えています。
・インバウンド需要をECサイトで実現する
・そもそも越境ECサイトって?
>海外需要の高い「クールジャパン」関連の商品
>中国市場向けに日用雑貨のECサイトが大ブーム
・自社ドメインで越境ECビジネスを形にする4つのポイント
>@ 越境ECで使用するプラットフォームを検討
>A 為替・決済方法
>B 物流
>C スタッフ体制
・解決すべき課題の多い自社ドメインでの越境ECサイト
・それでも中国で商品を販売したい!(中国モールへの出展・出品)
インバウンド需要をECサイトで実現する
ニュースなどでよく中国からの旅行客が日本の百貨店などで爆買いする様子が報道されますが実際に外国人の訪日客による消費は激増しています。そして外国人による売上の増加は実店舗だけではなく日本の数あるECサイトにとっても大きなビジネスチャンスとなっています。
経済産業省が2017年に発表した「平成28年度電子商取引に関する市場調査」では、中国とアメリカによる越境ECの日本での売上が2400億円弱に達し年々増加傾向にあると言います。
ですが越境ECに参入している事業者のECサイトも少なく、可能性が広がり続ける越境EC市場について、成功しやすい商品やサービスの特徴と越境ECサイトの立ち上げに必要な準備などを具体例とともに確認していきましょう。
そもそも越境ECサイトって?
越境ECサイトとは海外のユーザーがECサイトでお買いものをし、国内から海外に向けて商品を発送するという仕組みのことです。
オリジナルな商品やサービスは日本国内だけではなく海外の市場でも存在感をアピールすることができますが、現在越境ECサイトで成功している商品やサービスにはいくつか特徴があります。まずは成功している商品ジャンルを見ていくとともに、越境ECビジネスを形にする4つのポイントをご紹介します。
海外需要の高い「クールジャパン」関連の商品
まずは海外でも評判の高いクールジャパン関連の商品です。
「クールジャパン」とは行政面でもよく日本の対外文化政策や輸出促進施策などで使用されるワードですが、主に国際的にも評価や人気の高い日本発信の技術や商品、文化などのことを指します。
代表的な例で言うとマニア向けのアニメグッズや日本の家電製品、便利な日用雑貨、伝統製法で作られたアイテムなどがあります。
クールジャパンの商品をいち早く世界に届けるシステムを構築したのはトーキョーオタクモードです。トーキョーオタクモードは海外にも日本オタクが多数存在するのにも関わらず、彼ら彼女らが簡単にクールジャパンの製品を購入できる環境にないことに注目してクールジャパン製品を届ける越境ECを立ち上げました。
今やトーキョーオタクモードのFacebookページには世界各国から2000万以上もの人々がライクしており2014年12月の月商は最高1億円にも達したとのことです。
中国市場向けに日用雑貨のECサイトが大ブーム
日本の日用雑貨に対する中国人の購買意欲も留まるところを知りません。中国からの訪日客が紙おむつを爆買いする様子をニュースで見たことがある人も多いかもしれませんが、日本の日用雑貨を扱うECサイトでも中国からの売上が伸びています。
このような中国からの日用雑貨需要にいち早く目をつけたのはケンコーコムです。2013年9月に日用品や化粧品など中国でも需要が高まっている商品を越境ECで販売し始めて売上を順調に伸ばしています。
特に全体的に幅広く売れているというよりかは紙おむつなどの特定の商品が爆買いされる傾向はECサイトでも見られるようです。
自社ドメインで越境ECビジネスを形にする4つのポイント
成功している商品軸での説明をいたしましたが、越境ECを行うにあたりどのような準備をしなければいけないのか?それを4つのポイント軸に見ていきましょう。
@ 越境ECで使用するプラットフォームを検討
まず商品登録や在庫登録、発注処理など、従来のECサイトで運用している業務や取り扱っているデータを、越境ECサイト構築時には同じ基盤で管理するのか?それを検討しましょう。統合するかのポイントとしては、
例1 国内の会員と海外の会員が混同してもよいか?
統合した場合、国内の会員と海外の会員が同じプラットフォームで管理することになります。会員情報をもとにサイト分析やCRM施策を行っているケースが多いと思いますので、分析や施策を行う際に会員セグメントが簡単にできるシステムなのか?ということも考慮する必要があります。
例2 在庫を国内と海外で共有したいか?
同じく在庫情報を共有したいのかということも考慮する必要があります。もし在庫情報を共有したくないということであれば、別々のプラットフォームで構築したほうが良い場合もあります。
例3 海外向けの機能追加などを積極的に行っていきたいか?
統合した場合、海外向けの機能をカスタマイズしていくということになると、現行のシステムに影響を及ぼす可能性があります。すでに多くのカスタマイズをしている場合は他機能に影響を及ぼす可能性があり、通常よりも費用が多く発生することがあります。積極的に海外向けの機能を追加していきたい場合は、別々のプラットフォームにて構築をしたほうがよいケースもあります。
越境ECサイトに求めるビジネス要求レベルによってシステムの選択肢は異なり、事業計画や事業規模を踏まえる判断が必要です。
A 為替・決済方法
商品の価格は為替によって変動するので、海外ユーザーへの価格の表示方法も考慮する必要があります。
例:1 商品価格は円で表示
商品価格は円で表示しつつ、ツールを使用しその日時点での為替レートを参考できるようにしています。越境EC運用上に海外向け価格を考えなくてよく、システムにあまり手を加えず、検索不可も下げる考慮をした対応です。
例:2 商品価格は現地通貨で表示
為替レートのマスタと連動して商品ごとの価格計算を行う方法もあります。為替レートマスタの連携が出来るシステムだとこのようなことも可能になります。
欧米向け対応
中国向け対応
決裁ラインナップについて
クレジットカード対応に関しては国内・越境ECに関しても利用率が高く必須の決済方法です。現状欧米諸国はクレジットカードだけでも現状は問題ないかと思われます。
中国向けの越境ECに関しては、アリペイ・銀聯の対応は非常に重要な要素となります。
ecbeingの導入企業様の越境EC事例を挙げると、元々は欧米諸国をメインターゲットとしたECサイトでしたが、イギリスやオーストラリア、中国などからの注文も伸びてきたケースがあり、PayPal経由で銀聯カードの決済ができる事も考慮し導入した実績もございます。
B 物流
越境ECというくらいなので、基本的には通販向けの国内倉庫で海外発送を行うことになります。配送方法はどの事例が多いでしょうか?
ecbeingをご導入いただいている越境EC事業者様だと、EMSが圧倒的に多いです。
メリットとしては
・概ね2〜4日で配送が可能
・配送状況の追跡も可能
・万が一でも損害を保証
・帳票関連もシンプルで国内配送と近しい運用で対応が可能
といったメリットがあり、多くの事業者様が利用しております。
送料の請求・表示について
ecbeingをご導入している越境EC事業者様では決済の時に各国ご送料を計算して請求できるシステムを導入していることで送料請求の手間を省いている事例もございます。
C スタッフ体制
越境ECでかかせないのがスタッフ体制です。越境ECの運用にしても商品登録、コンテンツ作成、顧客対応においても翻訳やコミュニケーションが出来るスタッフが必須となります。
多くの企業がECチームにバイリンガル・トリリンガルなスタッフをECチームに配属しております。言語的にも文化的にもグローバルな知識と経験を持ったスタッフの確保は必須です。
解決すべき課題の多い自社ドメインでの越境ECサイト
越境ECの世界的な広がりとともに数年前に比べて越境ECへの参入のハードルは下がっていますが、越境ECの構築や運営は国内でのECサイト立ち上げに比べて様々な課題や障害が残されています。
特に中国市場向けの越境ECサイトを立ち上げるにはICPライセンスという特殊なライセンスを取得する必要があったり、現地法人を設立する手間があったりと労力と時間、費用もかかるのが現状です。そのため長期的な売上予測と徹底した市場調査を踏まえて投資する時間と費用がペイできる状態になるのかをシミュレーションすることが重要です。
それでも中国で商品を販売したい!(中国モールへの出展・出品)
今回は自社ドメインでの越境ECを説明いたしましたが、もし中国に向けて商品を販売したいということであれば、まずは中国のECショッピングモールに商品を出展・出品するということも可能です。
実は中国国内の自社ドメインECというのはあまり普及しておらず、多くのユーザーがECショッピングモールでお買いものをしております。中でも約6割のシェアを誇る、日本でいう楽天に近い形のプラットフォームの天猫(Tmall)、アマゾンに近い形のプラットフォームで約2割のシェアを誇るJD(京東商城)というモールがございます。
こちらは中国の現地法人のみ出店が可能になっておりますが、天猫国際(Tmall Global)とJD WorldWide(京東全球購)という海外企業も出店が可能なモールがあります。
両モールとも本体のTmallやJDの越境ECカテゴリということになります。両方とも日本から直接契約が可能で、商品を日本から国際便などで配送するパターンと、特別区にストックして配送するパターンがございます。売上金は香港経由にて日本円で入金される仕組みとなっています。
もし自社ドメインでの越境ECのテストとして、中国の有名モールに出展・出品を考えてみても良いかもしれません。
とはいえ今後の越境ECの市場規模は世界的にもますます伸び、2020年には対前年比の20%〜30%の伸びも予測されています。現在中国でも越境ECを促進するための法整備などが進んでおり状況は変化していくでしょう。
今回は自社ドメインでの越境ECを主に説明をさせていただきましたが、世界の国境を越えたEC市場の動きに乗り遅れないように早くから市場調査を始めて越境ECの準備をしておくことが必要となります。