ECサイト構築システム・ベンダーの比較項目、比較表の作り方
ECサイトを新規で構築、もしくはリニューアルをする際に、ECベンダーに向けたコンペを実施する場合、どのような指標でECベンダーを比較すれば良いのか分からないのではないでしょうか。
ECサイト構築ベンダーを比較するにあたり、どんな項目を比較するべきなのか解説していきます。
どのようにECサイトのベンダーを選定・評価する?
ベンダー選定する際は、重要視する部分をしっかり考えて評価する必要があります。
価格や求めているシステムの機能だけではなく、こちら側の要求が実現できるのか、過去実績からの業務の適合性、将来のシステムの拡張性も評価基準にしていきましょう。
また、実現性を判断するにあたっては、ベンダー側の営業マンの資質ではなく、ベンダー側の開発担当者(プロジェクトマネージャー)にも話をし、評価基準としましょう。
ベンダーを比較する際に重要な「比較表」の作り方
比較表を作成するメリットは2つあります。
自社内の意識統一ができることと、構築を進めていく上でECサイト構築の目的をぶらさないことです。その2つを意識して比較表を作成してみましょう。
比較表の項目
ベンダー概要
ベンダーの情報を記載していきます。開発要員数や過去のセキュリティ事故について記載すると同時に、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)の有無なども同時に記載して比較していきます。
- 上場区分
- 資本金
- 従業員数
- 開発担当者の人数
- 過去のセキュリティ事故
- ISMSの有無
ソリューション
自社で行っている業務と他会社に委託している業務を確認します。主にみるべき点はシステム開発ですが、サーバーの運用、デザイン、運用支援、デジタルマーケティング支援などの業務です。当然のことながら、自社完結でやっている企業のほうが自由度は高くなるでしょう。
- パッケージ開発(自社開発か他社開発か)
- データセンター
- デザイン(自社デザインか他社委託か)
- 運用(運用支援をするのかしないのか?)
- マーケティング(自社、または他社委託)
ECシステム
PKG名、PKG開発有無、OS/ミドルウェア、ソース形態がオープンソースかクローズドなのか、使用している言語などを確認します。理想のPKGは案件ごとに異なります。コンペを開催したときなどに詰めていきましょう。
- パッケージ名
- パッケージの開発有無
- OSやミドルウェア
- ソース形態(オープンソース、クローズドなど)
- 使用言語
セキュリティ
第三者セキュリティ診断実施有無、IPS導入有無、PW等の暗号化対策、システムとしてのPKG施策(具体的な施策)などを確認しましょう。特に、顧客情報を守るためにセキュリティは重視したいところです。どうしてセキュリティが優れているのかなど、これもコンペの際に聞いてみると良いでしょう。
- 第三者セキュリティ診断の有無
- IPSの導入有無
- パスワードなどの暗号化対策
- システムとしてのパッケージ施策(SQLインジェクションの対策やCSRF対策など)
コスト
PKG初期費用、カスタマイズ費用、デザイン費用、月額費用、インフラ費用を比較していきましょう。
- PKG初期費用
- カスタマイズ費用
- デザイン費用
- 月額費用
- インフラ費用
提案内容
データセンター、要件の網羅性、提案の内容、パッケージFIT率、PMの人柄、体制面を数値化していきましょう。そのうえで、要求に対するベンダー側の理解度と、要求事項に対してのベンダー側の提案内容と要求事項の網羅性を具体的に挙げていきます。最後に、デモ実施の可否と評価があればそれも判断基準に取り入れましょう。
- データセンター
- 要件の網羅性
- 提案の内容
- PKGFIT率
- PMの人柄
- 体制面
- 要求事項に対しての
- ベンダー側の理解度
- ベンダー側の提案内容
- 要求事項の網羅性
- デモの実施
- デモの評価<
機能軸
会員系機能網羅度やその他自社が機能軸で重要視したい内容を比較していきましょう。例えば、ギフト系ECサイトなら納品書の金額記載などです。最低限の条件を明確にしてから全体の機能を比較しましょう。
- 商品系機能
- 会員系機能
- 注文系機能
- デザイン系機能
- 販促系機能
- 分析計機能
このような比較対象項目を一覧化し、自社内の意識統一ができることと、構築を進めていく上でECサイト構築の目的をぶらさないようにしましょう。
ecbeingではベンダー比較のコツ、リニューアル時の問題を解決するためのアドバイスも行っています。
オリジナルの比較表
コンペのテーマや目的によって、比較対象を加える必要があります。この場合、足りない日各項目を付け加えてオリジナルの比較表を作りましょう。
付け加える情報は会社の業種や業態によって異なります。複数の店舗を管理したいなら、管理できる店舗の最大数、海外通販に力をいれている会社なら、翻訳機能を比較しましょう。また、より評価しやすくするため、各項目を5段階評価できるようにし、合計点で比較するのもおすすめです。
その他比較箇所をピックアップ
その他にもさまざまな比較ポイントがあります。
例えば、顧客のリピート率やSNS連携のしやすさ、集客率上昇につなげるための豊富な機能です。
コンペをすると必然的に価格競争も起こるので、使用したい機能や拡張性を考慮してピックアップしていきましょう。
また、新しいサイト運営に慣れるまでの時間も考慮する必要があります。
運営するにあたっての難易度がどのくらいのものなのかは、デモンストレーションを見せてもらいで比較して判断していきましょう。
ベンダーを評価するときの注意点
ベンダーを評価するときには、比較する際の着眼点を明確にしましょう。
比較を明確にするためにも、対象ベンダーが多くなってしまった場合は、RFPを依頼する段階とプレゼンテーションの段階で数を絞ることが重要です。
その際に、比較表を曖昧に選定してしまうと、プレゼンや他社実例を鵜呑みしてしまい、評価する軸がぶれてしまうので、最低限の条件を明確にして評価していきましょう。
一般的に、比較対象のベンダーは3社にとどめるほうが良いと言われています。
社内認識の統一もお忘れなく
ECサイトの構築やリニューアルをする際は社内認識を統一させることが重要です。
リニューアルやコンペを行う際に一番大切なのは、プロジェクトをまとめる力とECサイトの運営目的の明確化です。いくら比較点を明確にしてベンダーを評価しても認識がずれてしまえば、全く違う方向へ話が進んでしまいます。
プロジェクトにはしっかりとした方向性を最初から提示し、目的に向けてスムーズにサイト構築が進むように、しっかりと意思統一を図っていきましょう。