事業者メーカーは販路拡大のチャンス? 次世代住宅ポイント制度とは
2019年10月より、消費税率が8%から10%に引き上げられます。消費税増税により、さまざまな産業や業界において需要の落ち込みが懸念されています。
これを受け政府は、需要変動軽減のための各施策を行う見込みです。
今回は、それらの施策のひとつである『次世代住宅ポイント制度』を取り上げ、EC事業者にとってどのような影響やビジネスチャンスがあるかご紹介します。
次世代住宅ポイント制度の概要
次世代住宅ポイント制度は、2018年12月の閣議決定にて盛り込まれた制度で、国土交通省によると「2019年10月の消費税率引上げに備え、良質な住宅ストックの形成に資する住宅投資の喚起を通じて、消費者の需要を喚起し、消費税率引上げ前後の需要変動の平準化を図ること」を目的としています。※1
その内容は、対象期間中に一定の性能を有した住宅を取得する人に対し、1戸あたり新築は最大35万円分、リフォームは最大30万円分、さまざまな商品と交換できるポイントを発行するというものです。
また、消費税率10%への引上げ時には、住宅ローン減税の控除期間を3年延長(建物購入価格の消費税2%分の範囲で減税)するなどの支援策も予定されています。※2
ポイント付与の対象となる工事は?
「環境」「安全・安心」「健康長寿・高齢者対応」「子育て支援、働き方改革」に資する住宅の新築・リフォームが対象となっており、その条件は工事の区分によって異なります。※3
工事の区分は大きく分けて「新築」と「リフォーム」があり、それぞれ対象となる性能要件が設定されています。
「新築」の場合は、以下の3つの条件のいずれかに該当する住宅が対象です。
@ 一定の性能を有する住宅(断熱等性能等級4以上、耐震等級2以上など)
A 耐震性のない住宅の建替
B 家事負担軽減に資する設備を設置した住宅
なお、新築はさらに「注文住宅の新築」「新築分譲住宅の購入」「新築分譲住宅の購入(完成済み購入タイプ) 」の3つに分類され、それぞれ条件が細かく設定されています。※4
「リフォーム」の場合は、断熱改修やエコ住宅設備の設置、耐震改修、バリアフリー改修、家事負担軽減に資する設備の設置、若者・子育て世帯が既存住宅を購入して行う一定規模以上のリフォームといった条件を1つ以上満たす工事が対象となります。※4
対象期間
ポイント付与の対象となるには、工事請負契約・着工・引渡しが、それぞれ対象期間内に行われている必要があります。
「注文住宅の新築」と「リフォーム」は、工事請負契約・着工が2019年4月1日から2020年3月31日までに行われた工事が対象となります。
「新築分譲住宅の購入」は、2018年12月21日から2020年3月31日までに工事請負契約・着工し、かつ売買契約を締結した工事が対象です。
また新築・リフォーム工事に関わらず、物件引渡し日が2019年10月1日以降であることが条件になっている点は共通しています。※3
特例や条件によって対象期間が異なる場合があるので、詳細は事務局のホームページなどで確認してみてください。
付与されるポイント数
ポイント数は項目によって定められたポイントを合算して決められます。
新築の場合は、一定の性能を有する住宅(断熱等性能等級4以上、耐震等級2以上など)の場合、30万ポイントが付与されます。この他に耐震性のない住宅の建替や、家事負担軽減に資する住宅設備(ビルトイン食器洗機、掃除しやすいトイレ、宅配ボックス等)の設置等でポイントが加算され、ポイント上限は1戸あたり35万ポイントです。
リフォームの場合は、 断熱改修やエコ住宅設備の設置、耐震改修、バリアフリー改修、家事負担軽減に資する設備の設置などでポイントを加算し、1戸あたり30万ポイントが上限となります。
ただし、若者・子育て世代が既存住宅を購入しリフォームを行う場合は上限が60万ポイントになるなど、条件を満たせばポイント上限が引き上げられる特例が設定されています。※3 ※4
次世代住宅ポイント制度の活用方法
つぎに、次世代住宅ポイントの具体的な使い方や申請方法について詳しく見ていきましょう。
ポイントを使ってどんな商品と交換できる?
交換対象商品の詳細はまだ決まっていませんが、「省エネ・環境配慮に優れた商品」「 防災関連商品」「健康関連商品」「家事負担軽減に資する商品」「子育て関連商品」「地域振興に資する商品」などが候補に挙がっています。
商品券や即時交換(追加的に実施する工事費への充当)は対象外なので、上記の対象商品と交換するというのが使い道となるでしょう。※5
現在、交換商品事業者および商品の公募が始まっているので、対象商品を取り扱っているEC事業者は事務局にコンタクトを取ってはいかがでしょうか。
ポイント申請方法と期間
ポイント発行申請は2019年6月3日より受付開始予定となっています。
申請にあたっては、ポイント発行申請書のほか、工事請負契約書や工事証明書といった各種添付書類が必要になります。※5
また工事区分によって必要書類が異なるので、詳細は事務局のホームページで確認してください。
商品の交換申請は2019年10月頃から受付開始予定です。ポイント発行申請と商品の交換申請は別々のタイミングで行う必要があるので注意しましょう。
次世代住宅ポイント制度はEC事業者のビジネスチャンス
EC事業者にとって、次世代住宅ポイント制度はどのようなビジネスチャンスとなり得るでしょうか。
過去に類似した制度『省エネ住宅ポイント』が実施された際、地域特産物の食品や、伝統工芸品、エコ家電など、多数の交換商品が登録されたので、今回もさまざまな事業者が商品登録を行うでしょう。
交換対象商品(「省エネ・環境配慮に優れた商品」「 防災関連商品」「健康関連商品」「 家事負担軽減に資する商品」「子育て関連商品」「地域振興に資する商品」)を扱っているEC事業者にとっては、消費税増税に伴う売上の落ち込みを防ぐと同時に、新たな販路拡大のチャンスとなり得ます。
次世代住宅ポイント制度の今後の動向に注目
消費税増税により注目が高まっている次世代住宅ポイント制度。
もし自社の扱っている商品が交換対象商品とは直接結びつかなくとも、視点を変えれば関連性が見出だせることがあります。
交換商品の公募が始まったばかりなので、今後の事務局の動向に注視しつつ、ビジネスチャンスを逃さぬよう一度自社商品の洗い出ししてみてはいかがでしょうか。
※1出典:国土交通省ホームページ
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk4_000170.html
※2出典:国土交通省ホームページ
http://www.mlit.go.jp/report/press/house04_hh_000837.html
※3出典:次世代住宅ポイント制度の概要
http://www.mlit.go.jp/common/001267870.pdf
※4出典:次世代住宅ポイント制度の内容について
http://www.mlit.go.jp/common/001284013.pdf
※5参考:次世代住宅ポイント事務局ホ一ムページ
https://www.jisedai-points.jp/