ECサイト構築時に導入しておきたい! 4つの決済方法とは
ECサイトにおける決済方法はコンバージョンを左右する最後の障壁であり、ECの売上にも直結する重要な要素です。
どんなに多くのユーザーがECサイトにアクセスし、サイト内を長い時間巡回してカートに商品を追加したとしても、ユーザーが望む決済手段を選べずに購入を止めてしまったら意味がありません。
そこで今回は、これからECサイトを構築する事業者に向けて、導入しておきたい決済方法を4つ挙げ、それぞれのメリットやデメリットについてご紹介します。
ユーザーはどんな決済方法を望んでいるか?
決済方法について確認する前に、ユーザーがどんな決済方法を望んでいるのかを知っておく必要があります。
経済産業省の報告書『平成29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)』によると、インターネットで購入する際に利用する決済方法のアンケート結果は次のようになっています(複数回答可)。
・クレジットカード払い:63.0%
・コンビニ払い:35.1%
・代金引換:32.0%
・銀行・郵便局の窓口・ATMでの振込・振替:26.2%
・ネットバンキング・モバイルバンキングによる振込:15.1%
・通信料金・プロバイダ利用料金への上乗せ:12.3%
・電子マネーによる支払い:5.2%
その他の機関の調査においても、クレジットカードが6,7割を占め、残りの3,4割をコンビニ払い、代金引換、銀行振込、ネットバンキングが分け合う形はほぼ一致しています。
このようにさまざまな決済方法がある中で、ユーザーが希望する支払い方法が選べない場合、サイトを離脱し購入を諦めてしまう可能性もあります。
通称「カゴ落ち」と呼ばれる決済直前のサイト離脱は、ECサイトにおける深刻な機会損失であり、企業イメージの低下にもつながる問題です。裏を返せばユーザーの望む決済方法さえ用意できれば、すぐにでも改善可能なので、集客など他の施策に比べれば、効果がすぐに現れる施策といえます。
導入しておきたい4つの決済方法
ecbeingの調査では、EC売上上位150社の採用する決済手段の数は平均4.8個でした。
この結果からも、一般的なECサイトでは4つの決済方法を用意しておけば十分ユーザーニーズを満たすことができるといえるでしょう。
主要な決済手段であるクレジットカード決済は当然のこととして、残り3,4割のユーザーを取りこぼさないためにも代金引換、コンビニ払いは抑えておきたいところです。
加えて、Amazonユーザーから重宝されるAmazon Payも導入しておくことをおすすめします。
それでは、それぞれの決済手段のメリットやデメリットについて見ていきましょう。
クレジットカード決済
クレジットカード決済のメリットは、ユーザーにとっては最も身近で利便性の高い決済手段であり、カードのポイントが貯まる点が挙げられます。
EC事業者にとっては代金回収をカード会社に委託できるため、回収リスクを抑えられる点です。
デメリットは、カード番号を入力することに抵抗があるユーザーがいる点や、若年層はカード保有率が低いという点、その他に不正使用によるトラブル、クレジットカード情報の漏洩事故などがあります。
なおクレジットカード決済を導入する際には、カード会社と直接契約する方法と決済代行会社のサービスを利用する方法がありますが、セキュリティ対策の手間やコスト考えると、決済代行サービスを利用するのがおすすめです。
代金引換
代金引換(代引き)は宅配業者が商品と引き換えに代金を徴収してくれるサービスで、シンプルかつ簡単な決済方法です。
クレジットカードを持っていない消費者や、ECサイトでのカード利用や先払いに抵抗のあるユーザー、複雑な手続きや入力を敬遠するお年寄りなどに根強いニーズがあります。
確実に代金回収できる点がメリットですが、受取拒否されると商品発送と返送の送料は事業者が負担することになる点はデメリットとなるでしょう。
ヤマトフィナンシャルでは導入費用は無料となっており、イニシャルコストがかからない点もEC事業者にとっては魅力ですが、手数料は300円〜1,000円とそれなりにかかり、その手数料は購入者が送料にプラスして負担するケースが多いようです。
また商品金額は30万円が限度で、それ以上高額な商品は扱えないので注意が必要です。
コンビニ決済
コンビニ決済は先払いと後払いの2種類があり、それぞれ払込票を用いる方法とコンビニ店頭の端末を使ったペーパーレス方式があるので、合計4種類存在します。
前払い(払込票)は最も古くからある方式で、注文を受けたら払込票を送付し、購入者がコンビニで支払った後に商品を発送するので未回収リスクがありません。
デメリットは払込票を送付する手間がかかること、入金されるまで商品を発送できないので在庫を抱えるリスクがあることです。
後払いは未回収リスクがあるため、決済代行会社が債権保証する形が一般的となっています。その場合は事業者側に未回収リスクが無く、後払いなので消費者も安心して購入でき、双方にメリットがあります。一方、手数料や保証料は割高となる傾向にあるため注意が必要です。
Amazon Pay
Amazon Pay(旧Amazonログイン&ペイメント)はAmazonが提供する決済代行サービスです。
Amazonのアカウントを持っていれば、住所やクレジットカード番号等の個人情報を入力することなく決済が可能で、非常に利便性が高いのが特長です。
またAmazon Payで決済した際にユーザーが許可すれば、ECサイトへの会員登録が同時になされるという点も特筆に値します。これによりAmazon Payを利用したユーザーの6割が、同時にECサイトの新規会員登録を行っており、会員数の増加に一役買っています。
初期費用、月額費用は無料ですが、決済手数料は商品代金の4%が発生します。
その他の決済方法
上記の決済方法以外にもさまざまな種類の決済サービスがあります。
金融機関が提供しているネットバンキングやペイジー、LINE Payや楽天ペイ、BtoBの取引で重宝される後払いや掛売り、海外で有名なPayPalなど、それぞれに特徴を持っています。
特にPayPalは、越境ECを行う際には候補に入れるべき決済手段です。
⇒導入後、受注が10倍になった事例も!オンライン決済サービス『ペイパル』
ユーザーニーズに合わせた決済方法を導入しよう
今回は、ECサイト構築時に導入しておきたい4つの決済方法について紹介してきました。
クレジットカード決済だけでは「カゴ落ち」を招く恐れがあるので、機会損失を生まないためにも複数の決済手段を用意しておくことが大切です。
とはいえ、最初から多くの決済方法を用意するのはコストがかさむので、EC事業の拡大に合わせて少しずつ追加していくのも有効な手段です。
また、未成年や若年層向けなら代引きやコンビニ決済、越境ECにはPayPalなど、ターゲット顧客の属性に合わせて最適な決済方法を選ぶようにしましょう。
※1出典:平成29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)
https://www.meti.go.jp/press/2018/04/20180425001/20180425001-2.pdf