ECサイトに「決済代行」が必要な理由と導入必須の決済方法
ECサイトやネットショップにおける最終的な目的は、商品購入手続きを完了させることに他なりませんが、その重要な役割を担うのが決済機能です。
オンライン決済にまつわる機能をすべて自社でまかなうのは手間やコストがかかり、セキュリティリスクもあるため、決済代行会社が提供する決済サービスをうまく活用することが肝要です。
今回は、決済代行会社が行っている決済代行サービスの内容や、導入すべきおすすめの決済方法についてご紹介します。
決済代行サービスとは?
ECサイトにおける決済方法は、クレジットカード決済、代金引換、コンビニ決済、キャリア決済、PayPalなど、さまざまな種類が存在します。
これらの決済方法をまとめて代行してくれるのが、決済代行会社が行っている決済代行サービスです。
決済代行サービスを利用しないとどうなる?
もし仮に決済代行サービスを利用せず、自社で決済システムを用意する場合、どのような業務が発生するでしょうか。
クレジットカード決済の場合、VISA・MasterCard・JCBなど複数のブランドに対応する必要があるので、それぞれのクレジットカード会社から個別に審査を受け契約しなければなりません。申請書類や審査基準は各社で異なり、審査に要する期間もまちまちです。
無事審査が通り、ECサイトをオープンした後もユーザーのクレジットカード情報や個人情報を自社で厳重に管理していかなければならず、もし情報漏えいを引き起こしてしまったら、莫大な賠償金や社会的信用の失墜を招きます。
またユーザーからのニーズが高い「後払い」を自社で導入した場合はどうでしょうか。
後払いは、商品発送後に入金がされないという未回収リスクが付きまとい、督促業務のコストも発生します。
決済代行会社のサービス内容
決済代行会社のサービスを利用すれば、これらの煩雑な業務から開放され、コスト削減やセキュリティリスクの回避を実現することができます。
それでは決済代行サービスにはどのような種類があり、利用するとどのようなメリットがあるのか具体的に見ていきましょう。
クレジットカード決済
クレジットカード決済の導入にあたっては、5大カード会社(VISA、MasterCard、JCB、AMEX、Diners)の対応は必須でしょう。
決済代行サービスを利用すれば、 5大カード会社の審査や契約を個別に行う必要は無く、1セットの申請書類を用意すれば代理申請してくれます。
小規模ECサイトや個人事業主の場合、審査が下りにくいケースがありますが、決済代行会社を通せばスムーズに審査をパスできるようアドバイスを受けられるというメリットもあります。
また各クレジットカード会社で異なる入金サイクルや手数料を一括管理でき、入出金管理業務の効率化を図ることも可能です。
なお決済代行サービスを使ってECサイトにクレジットカード決済を導入する際には、主に3種類の接続方式(リンク型、モジュール組込型、データ伝送型)から選択します。
リンク型
決済画面を用意する必要がなく、決済代行会社が用意した決済画面を利用する形式で、導入が最も簡単な方式です。
モジュール組込型
自社で決済画面を用意し、そこに決済代行会社から提供されたプログラムを組み込むことで実装します。
データ伝送型
暗号化に対応したサーバーを自社で構築し、ユーザーから取得したクレジットカード情報を決済代行会社に連携する方式で、大規模ECサイト向きといえます。
接続方式は自社の商材やトランザクション量、サイト規模に応じて選ぶようにしましょう。
コンビニ決済
コンビニ決済もクレジットカード決済と同様に、複数のコンビニ会社を利用できるよう準備する必要がありますが、決済代行サービスを利用すれば、セブンイレブン・ローソン・ファミリーマート・ミニストップなどの主要なコンビニと個別に契約する必要がなく、契約手続きが大幅に簡素化できます。
現在、決済代行会社によってさまざまな種類のコンビニ決済サービスが展開されています。
最も一般的な方式は、注文後にユーザーに決済番号を通知し、ユーザーがコンビニで支払いを完了した後に商品を発送する「ペーパーレス先払い方式」です。
その他、商品到着後に送付される請求書を使ってコンビニや銀行で支払う「後払い方式」を提供している決済代行会社もあります。
この場合は未回収リスクが無い「リスク保証」が付与されており、代金回収業務や督促業務は決済代行会社が行ってくれます。
掛売り(BtoB)
企業同士の取引においては掛売りが一般的ですが、決済代行サービスを利用することで、掛売りにまつわる各種リスク(未払い、支払い遅延、貸し倒れ等)をすべて保証してくれます。
また与信管理、請求業務、入金確認、督促といった業務をすべてアウトソーシングできる点も、BtoB-ECを運営している事業者にとっては大きなメリットと言えるでしょう。
代表的な決済代行会社
代表的な決済代行会社は、GMOペイメントゲートウェイ、ペイジェント、ネットプロテクションズなどが挙げられますが、他にも大小さまざまな会社が特徴的な決済代行サービスを展開しています。
多種多様な決済手段や決済機関を選ぶことができる会社や、「初期費用0円」を謳った会社、決済手数料の安さを売りにした会社、「最短○営業日でサービス提供可能」といったスピーディーさで勝負する会社など、それぞれに特色があるので、複数の代行会社のサービス内容を比較した上で決めるのがポイントです。
導入必須の決済方法
決済代行会社の選定にあたり、まず自社のECサイトに導入する決済方法を決めておく必要があります。
そこで、経済産業省の「平成29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」を参考に、ユーザーがどんな決済方法を選んでいるか見ていきましょう。
調査の結果、クレジットカード払いが63.0%、コンビニ払いが35.1%、代金引換が32.0%、銀行・郵便局の窓口・ATMでの振込・振替が26.2%、ネットバンキング・モバイルバンキングによる振込が15.1%、通信料金・プロバイダ利用料金への上乗せが12.3%、電子マネーによる支払いが5.2%となりました。
圧倒的支持を受けているクレジットカード決済は当然のこと、クレジットカードを所有していない若年層やお年寄りのニーズをカバーするために、コンビニ決済と代金引換も導入しておく必要があります。
決済代行サービスを活用しよう
あらゆるユーザー層がECサイトで買い物をするようになった昨今、多くのユーザーニーズを満たす決済方法を自社で用意するのは現実的ではありません。
またEC事業者にとっても代金の未回収リスクやセキュリティリスクを回避でき、安心してサイト運営を実現してくれる決済代行サービスは、今やECサイト運営に欠かせない存在といえるでしょう。
決済代行会社を選定する際には、各社のサービスのメリット・デメリットを比較し、自社の商材やターゲット顧客に合わせて、最適な代行サービスを選ぶことが大切です。
そしてECサイトの事業拡大や売上拡大に合わせて決済手段を追加できるよう、将来を見越して決済代行会社を選定するようにしましょう。
※1出典:平成29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)
https://www.meti.go.jp/press/2018/04/20180425001/20180425001-2.pdf