食品と健康食品のサイトを統合し通販事業を強化していく理研ビタミン。効果を最大限上げるために行った施策とは?
BtoCパッケージ , 定期購入
天然原料を事業展開の中心に捉え、食を通じて日々の生活に「健康」「安全」「安心」「豊かさ」を満たす製品を提供する理研ビタミン株式会社は、「天然物の有効利用を図る技術と商品で、人々の健康と栄養に寄与し、社会に貢献する」ことを理念に掲げ、人々の食生活向上に貢献しています。
そんな理研ビタミン株式会社は、2019年5月に"おいしさと健康"をお届けするショッピングサイト『リケンダイレクト』をリニューアルオープンしました。
今回はECサイト構築を行った背景やリニューアル後の変化、今後の展望について、同社の熊谷 寛さんに聞く。
基本情報
<社 名>
理研ビタミン株式会社
<設立年月日>
1949年8月
<事業内容>
家庭用食品、業務用食品、加工食品用原料、食品用改良剤、化成品用改良剤、ビタミン類などの製造・販売
<従業員数>
945名
<資本金>
25億3700万円
<本社所在地>
東京都千代田区神田三崎町2-9-18 TDCビル 11・12階
部署統合による通信販売事業の強化
――最初に、理研ビタミンさんの事業や商品について教えてください。
熊谷:弊社は、一般的にスーパーやコンビニで取り扱っていただいているスープやドレッシングなど、いわゆる家庭用商材のイメージがあると思うのですが、それだけではなく、ファミリーレストランや居酒屋などの飲食店で扱っていただいている、いわゆるBtoB向け商材も販売しております。
また、パンを柔らかく仕上げる乳化剤、製菓用の天然色素など、品質を向上させるのに欠かせないメーカー様向け食品用改良剤も主力事業の1つです。
あるいは、一部の医薬品原料やプラスチックの可塑剤など、食品以外の分野においても強みを持っていることは弊社の意外な部分かなと思います。
――事業自体の幅が広いですね!その中でどのような経緯でサイト統合を行いましたか?
熊谷:元々、健康食品通販と食品通販はそれぞれ別々の事業部に所属していたのですが、3年ほど前に通販事業を1本にまとめることになりました。
健康食品の通信販売では、積極的に広告展開して新規顧客を獲得する一方、食品の通信販売は、弊社のOBや株主様など、インハウスリスト向けのDMなどを軸に事業を展開しておりました。健康食品の通販で培ったノウハウを食品の方にも注入し、双方のリストを有効活用するなど、トータルで通信販売の事業を大きくしていくことが最大の目的です。
統合前は、人員もシステムもフルフィルも決済代行も違う、まったく別の通販事業が2本動いている状態でしたが、サービスの充実に向けて、基幹システム、ECサイト、出荷倉庫まで統合することになりました。
いきなり全てを同時に統合するのは難しいため、助走期間を経て要件定義を行い、強みや弱みを洗い出し、全て一本化していこうという本来の目的のために動き出しました。
異なるジャンルを一緒のECサイトで構築するために
――そのような中でecbeingを選んで頂いた理由は何だったのでしょうか?
熊谷:どこのシステムベンダーにお願いしようかを考えている時に、そもそも健康食品と食品の異なるジャンルを一緒のシステムで構築できる企業があまり見受けられませんでした。
元々私が健康食品の通販の部署に所属していたため、当初は健康食品のECで必要な単品リピート通販を前面に押し出しているベンダーに声をかけていたのですが、食品はどうですか?と聞くと、あまりいい回答をいただくことができないケースも多々ありました。
そこから合計6社ほどシステムベンダーを絞り込み、健康食品と食品の両方のジャンルに精通して扱えて、スクラッチでなく、予算感に合うところを探したところ、ecbeingさんと出会うことができました。情報収集の一環で御社のセミナーにも参加させていただき、豊富な事例や実績を見て、「イメージしているものを実現できる」と思った次第です。
また、担当レベルの話ですが、専門用語ばかり繰り出して説明が分かり難いベンダー様が多いなか、御社の場合は現場に寄り添っていただきわかりやすく、説明はもちろん、課題に対しての解決方法を選択肢として与えてくれるのは大きかったです。
ecbeingさんはできることと、できないことをしっかり分けてくれて、きちんとしたお答えや代替え案もいただけて助かりました。担当者の人柄もあるとは思いますが、正直かつ誠実にご対応いただいたおかげで、社内での対応もしやすかったです。
細かく設定可能な定期購入機能
――今回のサイトリニューアルでこだわった点は?
熊谷:定期購入については旧システムの機能もリスペクトしつつ、こだわりました。今どきの定期購入は、ただ淡々と定期価格でお届けしていてもなかなかうまくいかず、初回を半額にする、2回目までキャンペーンにするなど、まず入り口のハードルを下げてあげることが必要になってきます。さらにここから、長く続けてもらうため、例えば3回目6回目9回目それぞれにプレゼントを同梱するなど、「回数」という概念が重要になってきます。このうえで、継続回数、心理的状態などを鑑み、マッチしたサービスが稼働する仕組みを作ってもらったというところがこだわりポイントです。
――定期販売に工夫をされていますね!運用面でのこだわりはいかがでしょうか?
熊谷:定期コースのお客様にプレゼントを同梱する場合、定期は3〜4回目で離脱するケースが多いため、3回目に予告して4回目にプレゼントを同梱することが有効、といったことが過去の実績で分かっています。このようなことをタイムリーに実現できることが大きいですね。
また、定期コースのお客様に対する情報発信用のステップメールを用意しており、この場合は「売り売り」ではなく、期待する効果へのモチベーションを高く保ってもらえるよう、健康コラム的な読み物を用意するなど、定期離れ対策も行っています。
一方、食品の方では、定期運用とは異なり、年に3回のセールが基本となっており、それ以外に、旬な季節、例えば主力商品の「わかめ」でいうと2月3月の旬な季節に、期間限定販売をするなどの施策があります。
これまではダイレクトメールによる販売だけだったのですが、WEB上でも同じようなキャンペーンが組めるようになったこと、会員ランク管理が自動的にでき、メールアドレスと会員情報を結び付けてあげることでお客様が自らWEBサイトの特典価格で購入ができるようになったことなど、新機能によって運用面でも助けられています。また、お客様からも使いやすいとの声を頂いています。
コールセンターの方が利用しやすい管理画面
――業務効率的にはいかがでしょうか?
熊谷:販売経路のすべてがWEBではなく、電話利用の方の割合もまだまだ多いので、コールセンターの方にも使いやすいよう、受注画面を見やすくしていただきました。
具体的には、受注画面は一般的にスクロール型が主流だと思いますが、スクロールする手間を省くためにレイアウトを調整して一画面ですべて見えるようにしました。
また受注画面上に表示される文言の選定(届先区分:納品書金額記載あり/なし)など、細かい部分もご対応いただきました。
他には、コールセンターさんの要望もあり、以前使用していたシステムとの違和感を減らすために、受注画面の背景色を以前と同じ茜色にするなども工夫もしています。
社内もそうですが、コールセンターなど委託先で、いかに違和感なく使ってもらうかというところは非常に大事な部分になりますので、できる限りのことはしました。
実際、現場のコールセンターの方からも「見やすい」などお褒めの声も頂いております。
――それは大きいですね!他にリニューアルしたことによる効果はいかがでしょうか?
熊谷:WEBの受注率に関しては、まだ肌感ですが上がっているように感じています。食品の通販においては、クレジット支払いが今までなかったのですが、今回ecbeingの導入に伴い、カード決済が可能になったので、そのあたりオペレーターからもご案内しやすくなりました。実際、クレジットでのお支払いが増えており、販売促進につながっていると思います。
また、以前までなかった機能として、プレゼント付与ができるようになりました。
キャンペーンに送料無料、ノベルティ付与、会員ランクごとの価格変更などがすべて自動化になったので、オペレーターさんの入力の手間が減り、業務改善化できた部分も大きいです。
例えば会員ランクごとに価格を分ける場合、以前のシステムでは商品コードも分けなければならず、操作も煩雑になっていましたが、1商品に対してランク毎の価格をマスタ設定することができ、オペレーターが1つずつコードを使い分けて手入力しなくて済むので、とても楽になりました。
――社内だけでなくお客様にとってもメリットはあったのではないでしょうか?
熊谷:そうですね。以前までは食品のお客様で健康食品を購入するのに、一度別のサイトに行き購入しなければならなかったのですが、統合されたことによって同時に購入することができ、便利になったとのお声も頂戴しております。
また、食品の方はもっともっと商品を魅力的に見せていき、ユーザーに分かり易いよう、日々気づいたところから改善しています。プロユースの食品が多いということもあり、どのように使ったらいいかわからない、適量がどれぐらいなのか、どういった応用メニューがあるのか、などを充実させているところです。
具体的な創造と実現していく力
――今後の展望についても教えてください。
熊谷:楽しく買い物していただくための演出をどれぐらい実現化できるかというところで、選べるギフトセットを練っている最中です。ギフトセットといわれると、商品AとBが入って2000円台、5000円台など定型で販売するというのが一般的なものだと思われますが、中身を商品群の中から指定した数を自分で選べるような、実際にスーパーで買い物しているのと同じ感覚で楽しく選んでいただける環境をまずはギフトにおいてやっていきたいと考えております。
また今後、プロユースで販売している商品を、一般のご家庭でも使用できるサイズに変えて通販限定で販売していく企画も練っています。
――ありがとうございました。最後に、これからEC事業をはじめる企業にアドバイスをお願いします。
熊谷:担当者なり責任者が、お客様へのサービスや見せ方など、どれだけ具体的に考えられるかが重要になってくると思います。
そこが定まっていないと、決められた納期を遅らせることにもなり、思っていたものとは別のものが出来上がってしまうということもあります。
開発してく中で、どれだけ言葉で説明しても、クライアントの担当者と御社の開発者の間でどうしても齟齬が生まれてしまいますので、行いたいことを具体的かつ明確に固め、共有することで、その隙間を埋められると思います。
――
理研ビタミン株式会社
熊谷寛(くまがい ひろし)
・「リケンダイレクト」(https://www.riken-direct.jp/shop/)
●取材・文:塩見駿介