サーモス株式会社 実店舗にないサービスをオンラインで。“サーモス“ならではのこだわりを表現
1904年に生まれたサーモスの魔法びんは多くの冒険家や探検家たちをはじめ、様々な方に愛されてきました。2020年現在も魔法びんのパイオニアとしての技術と発想を組み合わせたこだわりの製品を数多くお客様に提供しています。今回は、そんなサーモス株式会社が今年3月にリニューアルしたECサイト「サーモスオンラインショップ」で実現しているオンラインだからこそ提供できるサービスの概要やその背景についてお伺いしました。
サーモス株式会社 基本情報
社 名 | サーモス株式会社 |
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設 立 | 1980年 |
事業内容 | ステンレス製魔法びん、真空保温調理器等を中心とした家庭用品および家電製品の製造・販売 |
資本金 | 3億円 |
所在地 | 東京都港区芝4-1-23三田NNビル |
― 今回ECサイト「サーモスオンラインショップ」をリニューアルした経緯について教えてください。
サーモスではもともと、2008年からお客様サービスの一環として「交換用部品」の通信販売を行っていました。その後、2015年にEC事業を本格化し、部品だけではなく製品のオンライン販売を開始。2017年には直営店事業もスタートいたしました。
リニューアルは以前にも数回実施していましたが、当初はミニマムスタートだったこともあり、事業拡大・売上拡大方針に対しシステム的な対応が難しかったり、機能不足を感じたりと様々な課題がありました。
そのため、業務負荷の改善と更なる事業の拡大を図るため、2018年後半からECプラットフォームの刷新を検討するようになったというのが今回のリニューアルの経緯になります。
― サーモスさんにとってECサイトはどんな役割を担っていますか?
サーモスは一般小売店舗や直営店などECサイト以外にも様々な販売チャネルがありますが、やはり実店舗では“棚に置ける商品数に限界”があります。サーモスオンラインショップでは定番商品はもちろん、実店舗ではあまり取り扱いがない商品も合わせて販売していくことで、“実店舗にない商品やサービス”を提供していきたいと思っています。まさに「ロングテール」ですね。
― サーモスの扱っている商品はどんな特長がありますか?
“家中需要”に合わせた商品が今売れています。
今需要がある商品としては、コロナ禍におけるテレワークや家中需要に合わせた蓋つきマグカップや、キッチン用品、あとはアウトドア用のタンブラーなどの売上が伸びています。
お客様の“声“を形に。シーンを絞った商品を提供
サーモスといえば家庭用水筒やタンブラーのイメージが強いですが、実は“シーンを絞った商品”も沢山ご用意しています。登山専用ボトルや自転車専用ボトル、ランニング専用商品、ゴルフ専用商品など、様々なお客様のご要望を形にしてきました。サーモスオンラインショップではそんなシーンを絞った商品たちを特集ページなどで訴求していく予定です。
― リニューアル前は具体的にどのような課題があったのでしょうか?
サーモスの製品はかなり多種類で、更にそれに紐づく交換用部品は数千を超える種類があります。
以前のECサイトでは、製品の色や機能で探す「絞り込み」の機能が不十分だったり、「特定の製品に紐づく部品」を検索しにくかったりとお客様にとって欲しい商品が見つけにくいサイトでした。
また、ページごとに“SEO対策”をすることもシステム的に難しく、サーモスの代表キーワードとも言える「“水筒”」というキーワード検索で上位表示されないなど、致命的な課題もありました。ecbeingでは、パッケージ標準で複数項目の絞り込みやSEO対策が出来る機能を持っており非常に満足しています。
― 今回のサイトリニューアルで特にこだわった点はどこですか?
サイトデザインへのこだわり
今回ECサイトのデザインもecbeingさんにお願いし、コーポレートカラーである赤をアクセントに現代的なデザインをしていただきました。中でも一番の特徴としては、サイトトップに「部品検索」と「製品検索」の2つの検索入り口を用意していることです。お客様に部品の取り扱いがあることを明示しつつ、お客様が一目見ただけで探しやすい・分かりやすい動線を設計いたしました。
部品検索へのこだわり
サーモスオンラインショップは、部品の販売から始まったこともあってかリニューアル前も後も部品をお買い求めのお客様が非常に多いサイトです。もちろん現在は製品の売上の方が大きいですが、それでも「交換用部品があるからサーモス製品は長く使える」と思っていただいているお客様に対してきちんと訴求の出来るサイトにしたいという“こだわり”がありました。
また、部品は製品の何倍もの種類があり、多すぎて実店舗の棚に並べることは出来ません。たとえ並んだとしても、「どの部品が自分の持っている製品に合うのか」をお客様が探すことはとても難しいと思います。
そこで、サーモスオンラインショップでは、“購入履歴”から該当する部品を参照できたり、“品番”や“製品”から部品を検索したり出来るようになっており、非常に簡単に部品を探せるような仕組みを実現しています。 “部品検索“にはサーモスオンラインショップならではの価値があると感じています。
インスタグラム連携ツール『visumo』や、レビュー最適化ツール『ReviCo』も導入。
visumoはInstagram上の投稿をサイトに掲載できるツールで、以前から活用したいと思っていました。大変有難いことに、弊社からお願いをしなくとも、お手持ちのサーモス製品の写真を撮って投稿して下さっているロイヤルティの高いお客様が沢山いらっしゃいます。そんなお客様の素敵な投稿を今後もっとECサイトにCGMとして活用していきたいと思っています。
― リニューアルをして半年経ちましたが、変化はありましたか?
UXが大幅に改善。管理画面上でサイト分析、新しい施策を打てるように。
以前のECサイトでは「PV数(ページ/セッション)」が異様に高く、“欲しい商品に到達できずサイト内で迷子になっているのではないか”という仮説を立て、デザインによって解決できないかを相談いたしました。
リニューアル後はPV数が一般的な値まで下がっていながらも、きちんと購買につながっており、お客様が迷わずに商品に到達できるようになっていることが確認できています。 リニューアルをした結果として、サイト全体でユーザーにとって分かりやすいUX設計を実現できました。
さらに、ecbeingの管理画面の分析機能や、Google Analyticsを活用して、上記のようなサイトに関する数字を簡単に確認することができるので、結果から次のアクションや新しい施策を考えられ、日々の運用の中でPDCAを回せるようになりました。 また、サーモスは電話による代理注文の件数が非常に多いのですが、ecbeingの管理画面は非常に使いやすいと社内でも評判が良く、業務効率化にもつながっています。
― 実際ecbeingを選んでいただいていかがでしたか?
最初にecbeingを選ぶ決め手となったポイントは「拡張性の高い」ことです。 サーモスがやりたいことを実現するために、ecbeingのパッケージシステムで完結することなく、他の会社が提供している周辺ソリューションなども含めた更なるご提案をいただき、ecbeingの拡張性の高さと、提案力を感じました。
また、実際にサイトの運用をし始めてみて、ecbeingに備わっている機能の「自由度の高さ」に驚いています。ecbeingの標準機能やAPIを活用することで、内製でJSを使った簡単なシステムを作成するようなことが可能になり、やりたいことを実現するスピード感が上がりました。外注をしてしまうと、どうしても実行までには月単位で時間がかかってしまいますが、ecbeingではもっと早いスパンでPDCAを回すことが可能になりました。
― 今後の展望について教えてください。
「THERMOS MEMBERS」会員へ、オンラインショップならではのサービスを提供
今後はもっと直営店とオンラインショップで連携した企画を考えていく予定です。
現在、サーモスの売上の多くは、スーパーマーケットやホームセンターなどの一般小売店やECモールなどでの販売です。ただ、そこと差別化を図るためには価格勝負では中々難しいものがあります。そこで、直営店やオンラインショップでは、今回リニューアルと同時に立ち上げた会員組織「THERMOS MEMBERS」を軸に、情報発信やキャンペーンを行い、付加価値を出していきたいと考えています。
まずは会員限定セールと店舗ブログから
直近では、初めての『会員限定キャンペーン』を行う予定です。既に会員の方、期間中に会員になっていただけた方を対象に、直営店ならびにECサイトのどちらで買っても対象となる会員限定のセールを行います。対象商品を直営店限定販売の商品とするなど、直営店の強みを活かした施策にしていきたいです。
また、現在『店舗ブログ』をオンラインショップのトップページに掲載する準備も進めています。直営店のスタッフに投稿を行っていただくことで、直営店自体の販促になることはもちろん、ECサイトのコンテンツも充実していきますし、それがSEO対策にもなります。直営店の施策によってECサイトが良い影響を受けたり、逆にECサイトの施策が直営店に良い影響を与えたりする、そんなwin-winの関係を今後築いていきたいと思っています。
将来的に実現したい「直営店と同じサービスの提供」
将来的には、現在は直営店のみで対応している「名入れ」のサービスをオンラインショップで実現したり、“オンラインショップで注文した商品を直営店で受け取れたり”、“直営店に置いてある在庫をオンラインショップで確認できたり”、直営店との連携をさらに強化し、1つのサービスとしてお客様に提供していきたいと思っています。ecbeingさんは、既に「名入れ」やオムニチャネルな機能実装の実績が沢山あるとお伺いしているので、サポートしていただきつつ、一緒に頑張れるという安心感があります。
― 最後にecbeingに対して一言お願いいたします。
ecbeingさんは本当に対応が早くて、大変有難く感じています。今までもそうですが、要望に対する回答はもちろん、ご提案もぜひ引き続きしていただければ嬉しいです。今後ともよろしくお願い致します。
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●取材・文:近藤 七海