株式会社ダッドウェイが会員統合でお客様の体験価値向上へ。将来を見据えサブスクサイトで実現したいこととは?
ベビー用品を取り扱い、家族みんなを笑顔にするような商品や企画を提案してきた株式会社ダッドウェイは、現在、そして未来の子育てにも選ばれ続けるため、ペット事業への参入をはじめ、自社ブランドの海外輸出事業、直営店事業のエリア拡大など進化を続けています。
そんな株式会社ダッドウェイが、2020年10月にBtoCサイト「DADWAYオンラインストア」をサイトリニューアルし、続いて2020年11月には育児用品のサブスクリプションサービスを提供するサイト「famisub!(ファミサブ)」を立ち上げました。今回は両サイトの目的や背景、運用、今後の展望についてお話をお伺いします。
株式会社ダッドウェイ 基本情報
<社 名>
株式会社ダッドウェイ
<設立年月>
1992年10月1日
<事業内容>
ベビー用品、玩具、スポーツ用品、アウトドア用品、ペット用品等の企画、開発ならびに輸入、製造、販売、 コンピュータシステム、ソフトウェアの研究開発とその販売、イベントの企画、運営、ロジスティクス業務並びに輸出入代理業、不動産の賃貸管理業、コンサルティング業、アフタースクール、学習塾、レッスン教室の経営
<資本金>
3,000万円
<所在地>
本社:神奈川県横浜市港北区新横浜二丁目15番地12
Eビジネスを発展させるため今の時代に合わせたリニューアル
――今回サイトをリニューアルした目的と背景について教えてください。
店舗とECの会員統合や提供サービスの統一なども、もちろん大きな目的にはなりますが、以前使用していたECパッケージの拡張性がなかったこと、サービスも終了するということがリニューアルのきっかけでした。
リニューアルする以上、Eビジネスを発展させるため今の時代に合わせた個別のカスタマイズを導入し、情報連携、CRMでお客様とのリレーションを図っていきたいと考えていました。
同時に今求められているオフラインとオンラインの融合というところも含め今回リニューアルに踏み切りました。
――そのような中でecbeingを採用した理由は何でしょうか?
拡張性があるところに惹かれ採用いたしました。
やはり今これだけ、ホームページやSNS等の情報発信する場があふれている中で、フロントになる部分がどの企業様もECになってきている傾向を感じています。
そういった中で他のベンダーさんからも情報を集めていましたが、信頼してお願いできるなと感じたのがecbeingさんでした。
運用の中で助かった点としても、費用や工数面を率直に言ってもらえた部分はとても好感をもてました。
お客様と双方向にコミュニケーションを取れるような運用
――「DADWAYオンラインストア」を構築、運用する上で意識や重要視していたことを教えてください。
1番にユーザー目線を意識しています。どちらかというとお客様とのコミュニケーションがこちらからの一方通行でしたが、なるべくお客様と双方向にコミュニケーションを取れるような運用を目指して進めています。
具体的には、visumoを新たに導入しましたのでInstagram上でのお客様とのやり取りも活発にしていきたいです。
また、Salesforceや御社サービスのマーケティング分析ツール『Sechstant』と連携しているので、シナリオを活発に動かしながら発展的なメールマーケティングにも使いたいと考えています。
例えば、メールのシナリオを強化していく中で、抱っこひも「Ergobaby」を購入後、次に購入されるのをデータで見ると約100日後ということがわかっています。
今までならば受動的にお客様からなにかアクションがあった時にお応えしていましたが、データから約100日の間でお子様も成長していることを考慮し、最適な商品をお勧めしたりなどお客様の合わせたコミュニケーションが取れるようにできたらと思っています。
――「DADWAYオンラインストア」に導入した機能について教えてください。
会員登録促進のための機能として、ECだけでなく店舗でも会員数を増やすため、店舗に置いてあるQRコードを読み取り、メールアドレス・電話番号のみで会員登録が簡単にできるようにしています。
現状、月に3000〜4000人の方が会員になって頂いており、一見多く感じますが、出生数に対して考えるとまだまだ増やせる見込みがあるという印象があります。
もっと言うとEC上では会員になってくれる方は多いのですが、その後の購入に繋がりづらく、逆に店舗で会員になっていただいた方は非常に高いリピート購入率になっています。
また、商品購入後のアンケートにて、店舗・ECでの買い物履歴やクーポン等の確認がマイページにて使いやすいといった声が上がっています。今後、より一層お客様がわかりやすくライトに入会でき、多機能で使えるようアップデートできたらと考えています。
――サイト構築時に苦労した点は何でしょうか?
社内での連携には苦労しました。ecbeingさんの仕事が早く、こちら側が少し止まってしまってできなかったことが本当に多かったと感じています。
例えば、弊社は物流を自社で構えているので物流との連携や社内の基幹システムとの連携など、そういったところは非常に苦労したところですね。特に、旧会員システム等と店舗のPOS連携は本当に時間がかかりました。
またコロナ禍ということもあり、直接お会いしたのが最初の数回のみでほぼリモートで進める必要がありました。
普段し慣れないリモートだったので正直サイトリニューアルが進むのか不安でしたが、非常にうまくリードして頂き助かりました。
社内のリモートに関する理解度が向上
――コロナの話題も出ましたが、コロナ禍での状況の変化やお取り組みはいかがでしょうか?
店舗は休業していましたので非常に厳しい状況でした。振り返ってみると休業していてもやれることはあったのではと感じています。
例えば、ライブコマースやLINE、チャットで接客するなど、様々な方法が取り組めたのではないかと思っています。
また、コロナ禍で社内的にリモートができるのかという課題がありましたが、今回のサイトリニューアルがほぼリモートでできたことにより、社内的にも理解が進みました。
お取引先様との商談、社内ミーティングをリモートで始めるきっかけにもなり、結果として非常に良い動きとなりました。
――リニューアルによる効果はいかがでしょうか?
リニューアルしたばかりということもあり、現状そこまで大きな変化はありません。そのため、今後商品のページやサービスの充実を行い、お客様が「何か良い情報や商品がないかな」と気軽にご利用いただけるページに仕上げていきたいと考えています。
実はサイトリニューアル後、お客様にアンケートを取らせていただきました。
「画面が大きく見やすくなった」「特集ページやランキングがわかりやすい」などの視認性やユーザビリティ部分に関する声やvisumoによるInstagram表示でイメージが湧きやすいとの声も頂いております。
もちろん、今後改善して行かなくてはならない課題もご意見として頂いておりますので、一つひとつ課題を解決しお客様の満足度向上を目指して参ります。
正直なところ社内のスタッフからは、良い声も悪い声もあります。以前使用していたシステムに引っ張られることもありますし、なかなか慣れない部分はあるかもしれません。
弊社は卸商社機能とリテール機能の大きく2つに分かれるため、それぞれ置かれている部署や立場によって目線が若干異なります。
また、ブランド・商品をお取扱いいただいているお取引先様もよくご覧になっています。社内外の方々のお声も大切にしながら、愛されるDADWAY online storeを目指していきます。
今後は、法人向けの受発注強化策として、BtoBサイトのリニューアルも検討しております。コロナ禍で求められているDX化(デジタルトランスフォーメーション)のようにお取引先様・弊社社員が欲しい情報がすぐ手に入る、会社での働き方やという観点でも改革していきたいと考えています。
既存サービスを新価値サービスとして提供
――今回リニューアルとは別に、育児用品のサブスクリプションサービスを提供するサイト「famisub!(ファミサブ)」も立ち上げられたかと思いますが、立ち上げた目的や背景について教えてください。
コロナ禍ということもあり、何か新しいことを始めないといけないということがきっかけでした。今のご時世、少子化など弊社にとってネガティブなワードがあふれ、出生数が大幅に減少している中で、お客様とのつながりをもっともっと増やすために新しいサービスを立ち上げる必要がありました。
その中でサブスクリプションをサービスとして選んだ理由としては、弊社が取り扱っているブランド・商品は高額品が多く、手が出しづらいことと、店舗やお客様も首都圏に集中しているため、もう少し他の地域でも商品が手に入れやすく、仮に手に入らなくても触れられ、試していただける機会をもっと作りたいと考えサブスクリプションサイトを立ち上げました。 また子育ての困ったフェーズでお客様に商品をご提案できるシーンに持っていけたらと考えています。
――「famisub!(ファミサブ)」ではどのような運用を行っておりますでしょうか?
エルゴベビーの抱っこひも3種類「EMBRACE」「ADAPT」「OMINI 360」を月額でお試しできるサービスを運用しております。1カ月から気軽に試せる「トライアルプラン」、初回3カ月間の契約後は1カ月ごとに更新する「ベーシックプラン」をご用意しました。
また、今までの物販とは違ったような表現でお客様とライトに繋がっていけるようなコミュニケーションを今回考えていました。店頭のチラシもそうですが、サンクスメールも通常物販の時のような硬い印象ではなく、社内のメンバーで考えたフレンドリーなものにしています。
その他、会員になり継続していただいた方に対しては、特典などをお送りしたいと考えています。
――「famisub!(ファミサブ)」の今後の展望について教えてください。
あくまでもお客様の課題解決の助けになるようにしていきたいです。
やはりモノだけではなくお客様のお悩みというところもしっかり解消してあげるというところが一番肝になってくると考えています。
そのため今だと、大型家具やベビーゲートみたいなものはレンタルする人も多く、その後購入される方もいるのですが、ライトにやってみたいというニーズには応えていけるようにしていきたいです。それだけでなく、お子様の安全を守る商品やサービスも一緒にサブスクリプションの形式でご提案できればと考えています。
また、例えばお子様の誕生日の飾りつけ等を全部セットで提供できればお母様の負担も軽減しつつお祝いができるのではと考えています。
通常は100円ショップやギフトショップなどで飾りを用意する必要がありますし、毎年飾りつけを変えたいとなると消耗品にもなります。そういったものをサブスクリプションで提供できたりすると喜ばれるのではないかと感じています。
目先だけではなく将来を見据える
――「famisub!(ファミサブ)」も含め、全体を通して現在の課題と今後の展望について教えてください。
現在の課題は、お客様と長く繋がっていくためのECサイトと店舗からのコミュニケーション設計です。深堀していくとUI・UXにも繋がってくる話だと思いますので、より一層の充実を図っていきたいと考えています。
そういった意味でもオムニチャネルで店舗との繋がりを強化していきたく、今後、新規出店する店舗はオンライン・オフラインをシームレスにつなげようと考えています。サイネージを活用しビジュアル訴求、ランキング、もしくは接客できるようなものなどを検討しております。加えてvisumoもサイネージに連動できればお客様が投稿した写真が表示でき、ご来店された際に満足感を得られるのではと考えています。このコロナ禍の期間でリアル店舗の意味、ECの意味を考えさせられたので、もっとお客様の体験価値をオンライン・オフラインでも高められるようにしたいです。
――ありがとうございました。最後に、これからEC事業をはじめる企業にアドバイスをお願いします。
目先だけではなく将来を見据えることが大事だと思います。ECだけではなく、弊社は店舗もありますので店舗も地に足をつけて一緒に成長できるような形を目指していくことが、サイト構築する上で社内の理解を得やすいのではないかと思っています。
今回このコロナ禍で印象的な事例があります。以前は店舗とECを分けた考え方でしたが、この期間中は店舗の在庫をバイヤーやスタッフがECに持ってきてくれるなどの協力的な動きがありました。後に組織体制がひとつになり、商品調達や運営の効率化に活かされました。
在宅勤務化がさらに進み、対面で顔を合わせる機会が少なくなっていますが、限られたリソースを有効活用しながら社として一枚岩になれることは非常に重要だと考えています。
――
DADWAYオンラインストアはこちら
famisub!(ファミサブ)はこちら
●取材・文:塩見 駿介