株式会社ロック・フィールドがサイト統合。売上を約3倍にしたサイト構築と運用方法とは?
常に新しい惣菜の可能性を探求しつつ、豊かなライフスタイルの創造に貢献することを企業理念に据え、付加価値の高い商品を、製造および販売している株式会社ロック・フィールド。
健康・安心安全・美味しさ・鮮度・サービス・環境を企業の価値観とし、惣菜を通して消費者の食卓を豊かにすることに貢献しています。
そんな株式会社ロック・フィールドが、2020年11月に「店舗取り置きWEB予約サイト」と「オンラインショップサイト」を統合し、「ロック・フィールド メンバーズ」を開設しました。今回はサイト統合の背景やこだわり、今後の展望についてお伺いさせていただきます。
株式会社ロック・フィールド 基本情報
<社 名>
株式会社ロック・フィールド
<事業内容>
惣菜の製造および販売
<資本金>
55億 44百万円
<本社所在地>
神戸市東灘区魚崎浜町15番地2
会員統合と店頭の混雑を緩和
――今回のサイト統合の目的と背景について教えてください。
川原:そもそも『店舗取り置きWEB予約』と『オンラインショップ』のサイトを統合するということが目的ではありませんでした。
以前は2つのサイトが独立して存在していたため会員組織が分かれており、お客様からするとどちらにログインしているのかが分かりにくいという状況がありました。
またそれぞれの会員にダブりがあったり、管理がバラバラになってしまっているという課題認識がありました。その中で今回のコロナの感染拡大を受け、お客様に予約やオンラインショップをご利用してもらうことで店頭の混雑を緩和したいという思いがあり、2つのサイトの会員を統合することにしました。
――ecbeingを採用頂いた理由を教えてください。
川原:10月、11月の繁忙期に間に合わせることを考えると必然的に納期が限られる中で、それまでに開発を間に合わせることができ技術力のあるベンダーを条件に探していました。
そしてecbeingさんにサービスの紹介をしていただき、会員統合のご経験、ECに関するノウハウ等、期待する技術力を持っておられると判断し、バートナーとして選ばせていただきました。
実際に無事スケジュール通りサイトを開設することができました。
その後のサイト改修も行って頂いていますが、様々な意見・要望を実現していただけており大変満足しております。開発力や実現する力、関わっていただける方々の人柄などがecbeingさんの強みだと感じています。
スムーズな買い物・予約を実現するための商品の見せ方
――「ロック・フィールド メンバーズ」を構築、運用する上で重要視していたことを教えてください。
川原:WEB予約でいうと、お客様がスムーズに予約ができるよう「商品から探すパターン」と「商品を受け取る店舗から探すパターン」の2つの入口を設置しました。
店頭では、お客様に商品カタログをお配りしており、カタログを見ながら商品を選んでいただき、予約サイトで予約をされるお客様が多いのですが、それとは別にもうすでに予約したい商品が決まっている、もしくは予約した商品を普段利用している店舗で受け取りたいというお客様のために、「品ぞろえから商品を選ぶ」と「受け取る店舗から商品を選ぶ」の2つの入口に分けることで商品を探しやすくしました。
オンラインショップは、画面の見栄えを大事にしています。
以前のサイトでは全商品が羅列された縦に長いページになっていましたが、新設したサイトではサラダや揚げ物などカテゴリから選ぶことができるようにしています。またご利用される食事のシーン別でも選んでいただけるようにしています。
その他、「わたしレストラン」という毎月、月替わりの食事を紹介している特集ページがあるのですが、メインの料理とサラダのセットを月替わりで紹介するというイベントをしています。すでにお客様から毎月楽しみにしているといったお褒めのお言葉をたくさん頂いており、以前のサイトではできなかったコンテンツを展開できるという点においても満足しています。
――以前のサイトと比べ使いやすくなった点はありますか?
川原:クーポン施策はやり易くなったと感じています。
以前は、商品別の送料無料やクーポンなどがしにくいシステムでしたが、ecbeingに変わってからは、設定一つでできるようになり助かっています。
すでに送料無料キャンペーンや、クーポン販促を実施していますが、対象のお客様をセグメントし、例えば「新規会員登録すれば500円クーポン」や「会員登録はしてくれているけど、まだオンラインショップで購入いただけていない方に500円クーポン」など、いろいろと提案していきたいと考えております。
――そうなんですね!今後、運用の中で強化していきたいところは?
川原:いくつかあるのですが、例えば、祝祭日のイベントを切り口にした入口だけではなく、もっとお客様にとって便利で使いやすい切り口があるのではと模索しています。
また、会員様にリピートしていただけるような提案も強化していきたいと考えています。クリスマスとお正月で多くのお客様からご予約を頂きましたので、その方々に今後節分などの他のイベント、お客様それぞれの誕生日や記念日などにもご利用いただけるようにお客様に定期的に提案したいとも考えています。それと並行して、予約の購買履歴などの属性に基づいてセグメントし、お客様にとって喜ばれるタイミングでの情報提供や提案をしていきたいと思います。
サイト統合前と比較すると売り上げが約3倍に
――コロナ禍ではどのような影響や状況の変化がありますか?
川原:コロナ前と比べ、WEB予約、オンラインショップともに大きく売上を伸ばしており、お客様のニーズが高まっていることを感じています。
今後も需要が高まることが予想できますので、スピーディーにお客様へ新しいサービスを提供していくための企画から実行、改善を行える組織づくりということにも会社として取り組んでいます。
会社としてデジタル活用の推進を進めることは、コロナ禍においても強みになると感じています。
――サイト構築による効果はいかがでしょうか?
川原:2019年11月〜2020年3月とecbeingさんに開発いただいた新サイト開設後の2020年11月〜2021年3月を比較すると、会員数は1.24倍、サイト流入数は1.4倍、注文数は2.4倍、売り上げ約3倍と、右肩上がりの状態にあります。
当社のWEB予約の繁忙期はクリスマスと年末で、その予約は10月位から始まります。
会員サイトが一つになったということで当社のオンラインショップを知らなかった会員様がショップの存在を知り、新たに使っていただけるということや、普段オンラインショップを利用している会員様が予約をご利用していただけるケースも増えてきています。
またお取引先様からは当社のオンラインショップをご覧いただき、旧サイトと比較して商品が選びやすくなった、提案したいことがわかりやすくなったというお褒めのお言葉を頂くこともありました。
――今後の展望について教えてください。
川原:やはりまだまだネットショップや予約の売上は会社全体の売上からみると小さいものがありますが、ファンになっていただけるお客様を着実に増やしていくためにはどうしたらよいかを考えています。
例えば、定期購入や頒布会のように、お客様のもとへ毎月、月替わりのサラダや料理をお届けしたいと考えています。また毎月もしくは2週間に1回など、お客様のご要望に合わせた食卓提案も考えています。
――ありがとうございました。最後に、これからEC事業をはじめる企業にアドバイスをお願いします。
川原:私は情報システムを担当する立場で開発に携わらせていただいたのですが、社内の基幹システムや社内システムの開発や改修とは違い、今回のオンラインショップとWEB予約については直接お客様が関わるサイトの構築だったこともあり、今までの仕事とは違った視点で物事を考える必要がありました。
例えば社内システムの改修であればお客様の離脱という現象に対して意識する必要はありませんが、オンラインショップであれば見栄えや使いやすさ一つで離脱が発生してしまうということで、お客様の視点で考え、本当に魅力的なのか、使いやすいのかを真剣に考えないといけませんでした。また今後も常に考えていくべきことだと感じています。
――
川原 啓介(かわはら けいすけ)
株式会社ロック・フィールド
●取材・文:塩見 駿介