ナラカミーチェジャパン株式会社
「もはやシステム会社ではない!ecbeingと二人三脚で歩んだ売上140%の理由とは?」
近年、小売業を中心に注目を集めているRFIDですが、ECでも活用できる技術であることはご存知でしょうか?RFIDは、特に店舗とECどちらも展開している事業者であれば、知っておくべき技術と言えるでしょう。
そこで今回は、導入事例などをもとに、RFIDの基礎知識やECへの活用方法について紹介していきます。
近年、小売業を中心に注目を集めているRFIDですが、ECでも活用できる技術であることはご存知でしょうか?RFIDは、特に店舗とECどちらも展開している事業者であれば、知っておくべき技術と言えるでしょう。
そこで今回は、導入事例などをもとに、RFIDの基礎知識やECへの活用方法について紹介していきます。
まず、RFIDの特性から解説していきます。
そもそも、RFID(Radio Frequency Identification)とは、無線電波によって非接触のデータ読み取りが可能な電子タグの一種です。RFIDを利用している身近なものとしては、SuicaやETCカードなどが挙げられます。
RFIDのメリットは、大きく以下の3点があります。
・非接触で一度に複数データの読み書きを行える
RFID最大の特徴とも言えるのが、非接触でデータを読み書きできるという点です。RFIDと比較されることの多いバーコードやQRコードは、リーダーを至近距離でかざさないと読み取ることができません。RFIDは非接触で読み取れるうえに、同時に複数のタグの読み取りも可能なため、読み取りにかかるスピードを大幅に短縮することができます。
・セキュリティ対策も万全
また、RFIDはセキュリティの面でも優れています。RFIDに用いられているICチップは、構造が複雑で、複製が困難とされています。
・繰り返し使うことが可能
RFIDは汚れにも強く、寿命が長いことでも知られています。そのため、長い間繰り返して使うことが可能です。
続いて、RFIDを導入するべきに注意すべき、RFIDのデメリットについて紹介していきます。
・高価なため、導入コストが高い
以前よりは低価格化が進んでいるものの、バーコードなどと比べるとRFIDの導入のコストは高いのが現状です。商品の数の分タグを用意しなければいけないことに加えて、RFIDリーダーも必要となります。
ただし、イニシャルコストは高くても、導入後の業務効率の改善によって人件費を削減できることを考えると、将来的に見ればコスト削減につながることもあります。
・商品によっては反応しづらいものも
RFIDは、電波が吸収されてしまうため、水や金属に弱いという性質もあります。そのため、飲料などに直接貼り付けると、正しく読み取れなくなってしまうことも。ただ、最近では、ペットボトルや金属製品用のタグが開発されたため、専用のタグを貼り付けることで読み取れるようになりました。
RFIDタグをリーダーで読み取れる距離は、RFIDタグやリーダーの性能などによって異なります。RFID導入の際には、目的にあったRFIDタグ・リーダーを使用することが重要です。RFIDリーダーの種類は、電波が届く距離を表す電波出力によって分けられており、「特定小電力」と「高出力」の2種類があります。
・高出力
電波出力が250mWから1Wまでの電波出力のRFIDリーダーは、高出力と言うカテゴリに分類されます。電波出力が高い分、通信距離が長いことが特徴で、数メートル先のものを読み取ることもできます。ただ、このリーダーを使用する際には、総務省に電波利用申請を提出し、利用料を払う必要があるため、利用には注意が必要です。
倉庫内で箱に梱包された商品をまとめて読み取る必要のある、物流倉庫や工場などで主に使用されています。
・特定小電力
電波出力250mW以下のRFIDリーダーは、特定小電力というカテゴリに分類されます。こちらは総務省への申請の必要がないものの、通信距離は1メートル程度となっています。手元の商品を効率よくスキャンすることに適しているため、小売店でのレジなどで主に使用されています。
では、現在RFIDはどのようなシーンで利用されているのでしょうか。
RFIDタグを商品に貼り付けておくことで、棚卸しの効率は大幅に改善されます。RFIDであればダンボールなどの箱の中に入れたままの商品を箱から出さずにスキャンできるため、スピーディーかつ少人数での棚卸しが可能になります。また、リーダーをかざすだけで読み取れるため、棚の一番上など、高いところに保管している商品の棚卸しも楽になります。高所から商品を下ろしてスキャンするという手間を省けるというだけでなく、棚から商品を落としてしまうリスクを低減できるというメリットもあります。
商品にRFIDタグを貼り付けておけば、レジの高速化を実現することも可能です。バーコードの場合、レジでは商品についているバーコードを一つずつスキャンする必要がありますが、RFIDならまとめてスキャンできるため、レジでの会計にかかる時間が大幅に短縮されます。また、誰でも簡単にスキャンできることから、セルフレジにしやすいというメリットもあります。レジにかかる時間を極力減らすことができれば、人件費の削減や、レジ待ちによる機会損失の減少にもつながります。
リアルタイムに在庫状況を確認できるというのもRFIDの特徴の一つです。欠品にすぐ気づくことができるため、スピーディーな補充が実現できます。うまく活用すれば、在庫切れによる機会損失を最小限に抑えることも可能です。
ここからは、実際にRFIDを導入して業務の効率化を実現した企業の導入事例について紹介していきます。
ファストファッションブランド「ユニクロ」を展開するファーストリテイリンググループでは、RFIDの導入を進めており、現在では全商品に対してRFIDタグが貼り付けられています。 RFIDの導入と同時に店舗のセルフレジ化も進めていて、レジでは買い物かごを置くだけで会計ができる仕組みになっています。セルフレジ化が進んだことで、多くの利用者から指摘されていたレジ待ちの問題も解消されたうえ、従業員はレジ以外の業務に時間を使えるようになりました。
また、RFIDの導入は在庫管理の面でも業務効率の改善につながっており、検品や棚卸しにかかる作業時間の短縮も実現しています。加えて、店舗のどこにどの商品がどれだけあるのかという情報を、RFIDを利用することで正確かつスピーディーに把握できるようになったという効果も出ています。欠品にも瞬時に気づけるため、販売機会ロスの最小化も実現しているとのことです。
参考:サプライチェーン改革について
ローソンは、経済産業省と協力してRFIDに関する実証実験をこれまでに何度も行ってきました。実証実験の中では、消費期限が違い商品をメッセージアプリ「LINE」で利用者に連絡し、その商品を利用者が購入するとLINEポイントが還元される施策などを実施しています。これは、「ダイナミックプライシング」と呼ばれる商品戦略で、食品ロスを削減することを目的としたものです。リアルタイムに商品の状態をチェックできるというRFIDの性質を活用していると言えるでしょう。
ほかにも、RFIDタグをつけた商品を読み取れるレジを用意し、レジでの会計にかかる時間を削減したり、利用者が手に取った商品をもとにおすすめの商品を紹介するデジタルサイネージを設置したりなど、小売業におけるRFIDの活用方法を模索し続けています。
参考:在庫可視化や食品ロス削減など、社会課題解決に向けて
豊田通商はトヨタグループの総合商社で、自動車や自動車部品を取り扱っている企業です。豊田通商では、人手不足解消および業務効率改善のために、2019年よりRFIDを導入しました。自動車部品が梱包された箱にRFIDタグを貼り付けることで、入出庫の予定リストとの照合などの業務の大幅な作業効率改善をはかる目的がある、とのことです。
また、これまでは棚卸しの際に倉庫棚にある商品をフォークリフトで毎回下ろしていたのが、RFIDの導入によって棚から下ろすことなくチェックすることが可能になり、棚卸しにかかる時間も削減されたといいます。実証実験を行ったところ、RFID導入によって自動車部品の棚卸しにかかる時間は、従来の8分の1にまで短縮できるとの結果が得られた、とも発表しています。
参考:
"棚卸の時間が従来の8分の1に短縮!"
RFIDを活用した自動車部品の入出庫・棚卸システム試験導入開始
〜自動車部品のグローバルサプライチェーンマネジメント効率化を目指す〜
全国の図書館では、比較的早い段階からRFIDの導入が進んでいます。
東京都三鷹市にある三鷹市立図書館では、RFIDタグを本に貼り付けることで、本の貸し出しや返却をセルフで行えるようにしています。また、利用者が事前に本の予約をしてから図書館に行けば、案内機を使って簡単に貸し出せるシステムを導入しているほか、貸し出し状況をチェックできる盗難防止ゲートを設置しているなど、RFIDを最大限活用した仕組みが見られます。
岩手県江刺市の江刺市立図書館では、蔵書管理のためにRFIDタグを2002年頃から導入しています。RFIDを導入したことで、貸し出す本をまとめてチェックできるようになり、貸し出し業務は一人につき数秒で手続きを終えられるようになったとのことです。
また、通常の業務にかかる時間を大幅に短縮できた結果、利用者から購入希望のリクエストを受けられるようにしたり、県立図書館の横断検索ネットワークに参加したりなど、サービスの改善のために時間を使えるようになったといいます。
参考:三鷹市立図書館 既存図書館へのIC導入で貸出・返却のセルフ化を実現
参考:無線ICタグの活用による図書館サービス(岩手県江刺市立図書館)
RFIDは現在、物流や小売業を中心に普及しています。ただ、ECでもRFIDの活用の可能性は十分にあります。ここからは、RFIDを活用したECの可能性について解説していきます。
RFIDを活用すれば、店舗在庫からEC在庫への移動をスムーズに行うことが可能です。
店舗の在庫状況を正確に把握できるため、ECの在庫が足りなくなった際に店舗在庫を引き当てるという判断ができるようになります。その反対も同様で、店舗・EC感の在庫のやり取りがスムーズに行えるようになり、機会損失を最小化できます。
店舗の在庫状況をリアルタイムに把握できるという特性をいかせば、利用客が店舗に行く前に在庫状況を確認し、どの店舗に在庫があるのかをリアルタイムに調べられるシステムを構築することも可能です。ECサイトにこのシステムを連携させれば、店舗に商品がない場合にECで購入するという購入経路を設けることもできます。
ここまで説明してきたとおり、RFIDを活用することで、店舗とECをスムーズにつなぐことが可能になるため、RFIDの活用はオムニチャネル化の施策とも相性が良いとされています。 利用者からすれば、在庫があれば実店舗に行き、なければECで購入するといった買い方ができるため、店舗でもECでも買い物をしたくなります。RFIDを活用し、店舗で購入する利用者とECで購入する利用者の情報を一元管理すれば、効率的なマーケティングを行うことも可能です。
>オムニチャネルに関する記事はこちら
今回は、RFIDの概要とECでのRFID利用の可能性について解説しました。RFIDは今も進化を遂げている技術であり、今後もさらなる発展と普及が見込まれます。それはEC事業者にも関係のない話ではなく、知っておくべきトレンドと言えるでしょう。
一方で、導入コストの高さは今も課題だと言われています。軽い気持ちでRFIDを導入すれば、大きな損失を招く可能性もあるでしょう。導入する前に、RFIDの特性を正しく理解し、自社でどのように活用すればメリットをも足らせるのかを考えるようにしましょう。