テキストから画像中心へ!海外のECサイトデザインの変化
かつて海外のECサイトデザインは、テキストの割合が大きく、3カラムデザインが主流でしたが、昨今はテキストが少なく画像メインのデザインが主流となりました。テキストが簡略化されても、情報量の物足りなさを感じさせないデザインですが、どのような理由があるのでしょうか?
今回は海外のECサイトを参照しながら、デザインがどのように変わってきたかを見ていきましょう。
日本と違う海外のECサイトデザイン
日本のECサイトは、できる限り多くの情報を表示させるため余白が少なく、テキストでの説明が豊富です。サイト内での優先順位はほとんどありませんが、日本人はテキストでしっかりと商品説明やおすすめ点を読んでもらったほうが安心感できる傾向にあり、現在でもテキストでの説明は重要となっております。
それに比べ、海外のECサイトは基本的に細かい説明文を表示せず、一番見てほしいものをや伝えたいことを目立たせるように、商品の優先順位も明確でデザイン重視の作りになっています。また、デザインに最新のトレンドを導入する傾向があり、インパクトを重視しているのが特徴です。
このように海外のECサイトは日本とは違い、デザイン重視のサイトが多く、全体的にシンプルな作りです。テキストでの情報量が充実している日本のECサイトと比較すると、情報量が少なすぎるように見えますが、印象的な画像を活かしたデザインで強いメッセージ性を持たせています。
今と昔のデザインの違い
ECサイトAmazon.comのデザイン
Amazon.comは、アメリカ合衆国ワシントン州シアトルに拠点を置く、ECサイト、Webサービス会社です。デロイトトーマツコンサルティングが発表した「世界の小売業ランキング2017」では初のトップ10入りを果たし、飛躍的に業績を伸ばしています。
Amazon.comのECデザインについて2000年から現在までの変化を遡ってみましょう。
【2000年2月】
3カラムデザインで、画像は圧倒的に少なく、テキスト量が多いです。必要な情報を見つけるためには、サイトをじっくり読み込む必要があります。また、メッセージ性を強く感じないデザインです。
【2010年12月】
2000年と比較すると、テキスト量が減り、画像が大きくなっています。大きな画像を使用することによって、ECサイトの「何を打ち出したいか」という意思を感じられるようになりました。ユーザーにとっても、おすすめの商品が何かすぐにわかるデザインです。
【2013年12月】
【2017年12月】
2000年のデザインから現在に近づくにつれ、テキストの割合は徐々に減少し、代わりに画像の割合が大きくなっています。また、2010 年頃からは画像がメインで説明も簡潔になり、画像だけでどれだけ商品の良さを発信できるかに注力しているかがわかります。
ECサイトがユーザーに伝えたいことが明確かつ強まってきたため、画像が活用され始めたと考えられます。強いメッセージ性を打ち出すには、百聞は一見にしかずということなのか、テキストよりも画像をメインに打ちだしているのでしょう。
Boseの ECサイトデザイン
Boseはアメリカ合衆国に本社がある、スピーカーを主とした音響機器開発製造メーカーです。2年周期でUI(ユーザーインターフェイス)/UX(ユーザーエクスペリエンス)を見直し、デザインを重要視したサイト作りを行っています。
【2011年】
割合的には画像の面積が大きいですが、まだテキストが多い印象を受けます。商品画像が大きく表示されているため、商品の性能をテキストで書くよりは、新商品が出たということと、商品のデザインをメインに打ち出して、「何を一番伝えたいのか?」という意図は読み取ることが可能です。
【2013年】
【2015年】
2011年、2013年のデザインは、上部にある「最も打ち出したい商品」と下部にあるそれ以外の商品で分離していました。しかし、2015年のデザインは、Boseブランドの一体感を感じます。テキストも小さくなり、商品画像だけでブランドのイメージや商品の魅力といったメッセージを伝えているのが特徴です。
【2017年】
2015年よりもさらにテキストが少なくなり、商品画像が全面に表示されたデザインです。ヘッドホンが映し出されているのはスマートフォンとパソコンの端末画面で、使用シーンを想像できる自然な画像となっています。また、カテゴリーや検索窓も画像に馴染むようにデザインされ、商品の持つ洗練された魅力を最大限に引き出しています。
その他のECサイトデザイン
チョコレートのECサイト
日本のECサイトは原材料や商品スペックを細かくテキストで記載し、余白を少なくしたサイトが多いですが、原材料をパイナップルやココナッツの画像として掲載することによって、商品に何が使われているかということがひと目でわかります。日本でテキストで掲載するとなると原材料:パイナップル、ココナッツ〜〜などと掲載するところを、材料の画像を掲載することによって商品がさらに美味しいそうに感じられますね。
アパレルのECサイト
上が従来のデザイン、下が現在のデザインです。
従来のデザインは、着用時の画像が単体で並んでおり、着用時の雰囲気はわかるものの、単調な印象を受けます。現在は画像だけではなく動画を活用したインタラクティブなデザインです。ただ商品情報を掲載するのではなく、商品にまつわるストーリーを配信することでユーザーとの距離が近くなりました。
家具のECサイト
こちらは画像のみですが、デザインされたコンテンツが組み合わされ、ストーリーが作られています。商品に関する説明が少なくても制作時の作業風景や製作者の顔、パーツ画像などから商品へのこだわりが伝わるサイトです。
今後のECサイトデザイン
ECサイトは、商品が揃っていてカートがあれば良いというわけではありません。購買前後においてユーザーとの接点を設け、必要な情報や機能、サービスを提供し続ける必要があります。加えて、打ち出したいことやこだわりなど、ECサイト側の意思を一目でユーザーに伝えることが重要です。
日本と同じで海外でもスマートフォンでの利用が半数を超えており、小さなスマホの画面でどれだけの情報を与えられるか?ということに注力しています。
特にスマホの画面だとテキストで商品説明やおすすめポイントをテキストで書くよりも、百聞は一見にしかずということで、画像でストレートにメッセージを伝えられる場合があります。
今のECサイトに行き詰まりを感じている方は、画像をメインにしながら思いを発信するデザインを検討してみてはいかがでしょうか。
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