現役大学生のライフスタイルを徹底調査!
Z世代に響く広告とは…
Z世代に響く広告とは…
Z世代はインターネットやSNSを活用して自発的に商品の情報やレビュー、体験を発信・共有をするため、どの企業にとっても注目される存在になっています。
しかし、Z世代はこれまでの世代とは異なり、購買行動や価値観も多種多様です。そのため、企業はZ世代に対して適切なプロモーション戦略を行うことが必要になってきています。
今回は、Z世代のライフスタイルと企業とのタッチポイントを現役大学生にインタビューを行うことで調査し、より効果的に認知を向上させることができるプロモーションの戦略について解説していきます。
Z世代はインターネットやSNSを活用して自発的に商品の情報やレビュー、体験を発信・共有をするため、どの企業にとっても注目される存在になっています。
しかし、Z世代はこれまでの世代とは異なり、購買行動や価値観も多種多様です。そのため、企業はZ世代に対して適切なプロモーション戦略を行うことが必要になってきています。
今回は、Z世代のライフスタイルと企業とのタッチポイントを現役大学生にインタビューを行うことで調査し、より効果的に認知を向上させることができるプロモーションの戦略について解説していきます。
Z世代と現役大学生
Z世代とは
1990年代後半から2010年半ばに生まれた人たちのことをZ世代と呼びます。また、1980年から1990年代半ばに生まれた人たちはY世代と呼ばれています。(※1)このZ世代とY世代は、両者ともインターネットが普及する中で成長したため、デジタルに関する知識が備わっています。その中でZ世代が注目されている理由はSNSの発信力にあります。
SNSの影響力は大きく、他のプロモーション戦略よりも多くの人が情報を知ることができます。そのため、企業にとってSNSは重要な広告媒体になっています。Z世代は日常的にSNSを利用し、情報の収集から発信までを行っているため、消費者という存在でありながら企業の情報の発信者でもあるのです。そして、Z世代の成長にともなってインフルエンサー(影響力がある人)が誕生していることもあります。
以上のことからZ世代は企業にとって欠かせない存在であると考えられます。
参考(※1 スフレ「なぜZ世代が注目されるのか? 特徴や価値観から見るマーケティングのポイント」)
大学生の重要性
大学生はZ世代の中でもより重要視されている存在です。その理由として、高校生までと比べて行動の制約がなくなり自由な時間が多くあることが挙げられます。自由に多くの体験ができるようになることでより多くの情報に触れ、発信をする機会も増えるため、発信者として注目されます。また、経済的な面でもより多くの商品やサービスを購入することができるようになるため消費者としても注目されています。
大学生を含めたZ世代に商品やサービスを届けるには、まずZ世代を深く理解することが必要になります。次の章では現役大学生のライフスタイルからZ世代の理解を深めていきたいと思います。
インタビューから見る現役大学生のライフスタイル
ライフスタイルに関するインタビュー
現役大学生(20〜22歳)の方、30名にインタビューを行いました。
1.あなたの平日、休日の1日の流れを教えてください。
平日
平日のライフスタイル一例
大学生の平日のライフスタイルは大きく2パターンに分けることができます。
@は大学3年生の男性の例であり、早寝早起きの規則正しいライフスタイルになっています。これは朝から大学で講義を受け、夕方からはアルバイトをするという活動時間が決められていることで、時間が制限されていることが理由であると考えられます。一方、Aは同じく大学3年生の男性の例ですが、遅寝遅起きの不規則のライフスタイルになっています。これはオンライン講義を受ける時間を自分で決めることができることで、時間の制限がなくなることが理由であると考えられます。
規則正しい生活をしている学生がいる一方で、大学やアルバイト、趣味の時間も含めると不規則の生活になるという学生も多く存在しました。また、オンライン講義を行っている学生は通学の時間が無いため自由時間が増加していることが分かりました。
自由時間では、SNSの利用・ドラマ鑑賞・スポーツ・ゲーム・課題など、さまざまな活動をおこなっているようで、その中でもSNSの利用に時間を使う人が多くいました。
休日
休日のライフスタイル一例
大学生の休日のライフスタイルは人によって大きく異なっていました。
@は1人暮らしをしている学生のため、平日できない家事をまとめて行い、アルバイトをするなど忙しい休日を過ごしていました。一方、Aは遅めに起床して自分の趣味を楽しむなど、自分の時間を大事にした過ごし方をしていました。
休日は平日よりも自由時間が多くなる中で、趣味・アルバイト・課題・睡眠などの自分に必要、もしくは楽しむための活動に時間を当てていることが分かりました。
2.あなたの主な購入手段を教えてください。(複数回答可)
順位 | 購入手段 | 回答数 |
1位 | Amazon | 15件 |
2位 | ZOZOTOWN | 7件 |
3位 | コンビニ | 7件 |
4位 | メルカリ | 6件 |
5位 | 楽天 | 4件 |
5位 | 専門店 | 4件 |
主な購入手段TOP5
大学生の購入手段は主にオンラインとオフラインに分けられます。
オフラインはコンビニ・スーパー・自販機での購入であり、飲食に関する買い物で多く利用されていました。オンラインはAmazon・ZOZOTOWN・メルカリなどのECサイトでの購入であり、衣類や生活用品、趣味に関する買い物で利用されていました。
インターネットの普及によって、品揃えや配達、カスタマーサービスなどが充実し、ECサイトを利用する学生が多くなりました。ネットで購入する理由として「品揃えが多いから。」「楽だから。」という声も挙がっています。また、買い物の時間を短縮することができるため、ネットでの買い物は自由時間の増加にも繋がっていることが分かりました。
3.モノ・サービスを購入する上で、どこから情報を得ていますか。(複数回答可)
順位 | 情報収集方法 | 回答数 |
1位 | 15件 | |
2位 | X | 10件 |
3位 | YouTube | 8件 |
4位 | TikTok | 6件 |
5位 | 公式HP | 4件 |
6位 | クチコミ | 3件 |
主な情報収集の方法TOP6
大学生の情報収集では主にSNSを活用していることがわかりました。
流行の商品やおしゃれなお店などの多くの情報がリアルタイムで分かることから、SNSを利用する大学生が多いようです。また、企業の情報発信だけでなく、インフルエンサーの情報発信の場がSNSであることから、SNSに情報が集中していて、情報収集の場にもなっていることが分かりました。
その他の情報収集の手段としてはクチコミやCMなどが挙げられていました。友人や家族からの意見から情報を収集し、その商品の詳細情報はインターネットで検索するという学生もいました。
4.あなたが主に利用しているSNSを教えてください。(上位3つを選択)
順位 | 利用しているSNS | 回答数 |
1位 | 26件 | |
2位 | YouTube | 23件 |
3位 | X | 22件 |
4位 | TikTok | 14件 |
5位 | LINE | 7件 |
6位 | BeReal | 2件 |
利用しているSNS TOP6
普段利用しているSNSは情報収集のために利用しているSNSとほぼ同じ、という結果になりました。1位のInstagramでは他の人の投稿を見るだけでなく、連絡手段にも利用している学生が多く存在し、これまでの連絡手段の主流であったLINEを常に利用している学生は減っていました。
また、自由時間や通学時間でSNSを利用すると同時に、SNS内で商品やサービスの情報も収集していることが分かりました。
以上のインタビューから大学生のライフスタイルが掴めました。
大学生のライフスタイルは、規則正しい生活をする大学生とオンライン講義による不規則な生活をする大学生の2つのパターンに分けることができます。どちらともオンラインで商品を購入しており、情報収集にSNSを利用することが多いことから、ショッピングという概念ではなく何気なくSNSを見ているタイミングに商品を探し、購入していると推測することができます。
企業とのタッチポイント
大学生のライフスタイルが見えてきたところで、企業はどのように大学生にアプローチをかければよいのでしょうか。大学生のライフスタイルからタッチポイントを探ります。
▼【大学生と企業のタッチポイント】
- 電車内の広告(ポスター、ステッカー、車内ビジョン)
- 駅内の広告
- SNS(企業発信による公式広告)
- SNS(ユーザー発信による情報)
- テレビCM
- アプリ内広告(バナー広告等)
- 雑誌
- クーポン情報
- ECサイト
大学生のライフスタイルの中で企業とのタッチポイントは多く存在します。その中でも、大学生の最も身近にあるものは広告だと考えられます。広告は自由時間や通学中、自宅や店舗など生活をする中で無意識でも見ているものになっています。大学生の利用が多いSNSでも広告は多く流れています。広告は種類も多くあり、企業の戦略次第で効果も大きく変わってきます。また、商品やサービスを認知してもらうだけでなくユーザーによる情報発信にもつなげるきっかけにもなり得るため、情報発信をおこなうZ世代に刺さる広告を作ることが重要になります。
次章では大学生の広告に対する認識や印象を分析していきます。
広告の認識と効果
広告に関するインタビュー
広告に対する認識について現役大学生(20〜22歳)30名にインタビューを行いました。
1.普段見ている広告についてどう感じますか?
- 「長い広告はいらない。」
- 「つまらない広告はいらない。」
- 「一瞬だから分からない。」
- 「同じ広告ばかりは飽きる。」
- 「スキップできない広告はいやだ。」
- 「無駄な時間だと思う。」
- 「特に何も思わない。」
- 「面白い広告ならあり。」
この質問から多くの学生にとって広告はあまり良い印象を持たれていないことが分かりました。一方、広告を1つのエンタメとして楽しむ学生も一定数おり、面白い広告なら見たいという意見も挙げられていました。また、大学生にとっての広告はSNS内に流れている広告を思い浮かべる傾向があり、自由時間内に時間を制限させ、楽しい時間を遮るものであると悪い印象を持たれていました。その中でも特に長い広告は悪い印象をもたれていました。
2.印象に残っている広告について教えてください。
学生はSNSの利用頻度・利用時間が多いため、印象に残っている広告にもSNS内の広告が多く挙げられていました。一方で、電車内広告やテレビCM、屋上看板のように普段から目にする場所での広告や、海外のCMや広告宣伝車のように珍しい広告も印象に残るという意見もありました。人によって印象に残るものは異なりますが、見る回数が多い広告、珍しい広告は印象に残りやすい傾向にあると考えられます。
3.あなたが良い・悪いと感じる広告について教えてください。
▼良い広告
- 時間が短い広告
- 面白い広告
- 自分が好きなものに関連している広告
- ストーリーがある広告
- リズムが良い広告
- 友達との話題になる広告
- 有益な情報がある広告 等
▼悪い広告
- 時間が長い広告
- 押し売り系の広告
- つまらない広告
- 興味の無い広告
- お金に関する広告
- 文字が多い広告
- 誇大広告 等
この質問から「良い広告」「悪い広告」それぞれにいくつか重要な要素があると分かりました。
「印象に残っている広告は何か」という質問では流れる回数が多い広告が印象に残りやすいという傾向がわかりましたが、この質問からは興味がない広告や押し売り系の広告を何度も見ることで、悪いイメージとして印象に残ってしまっていることが見えてきました。
一方、良い広告であると感じる要素としては時間、ストーリー性、話題性、自身との関連性が必要であることも見えてきました。特に時間の長さによって見る側の気持ちも変化するため、時間的要素が広告には大きく関わっていると考えます。自身との関連性では趣味や自身の問題として自分事にさせ、興味をもってもらうことができるのだと思います。
広告の分析
広告は商品やサービスの認知度を向上させるためだけでなく、ブランドイメージにもつながっています。よって、印象に残るだけではなく、自ブランドのイメージを正しく届ける広告にすることが重要になります。
時間という面では、InstagramやXでのSNS内広告はすぐ飛ばすことが可能なため、流れる時間が短すぎると印象に残らないという問題があり、YouTubeをはじめとする動画の前の広告も長すぎると悪い印象を受けてしまう問題があります。そのため、適度な時間で飛ばされない広告が重要になります。また、自身に関連するものでも押し付けてしまうと反抗心から悪い印象を受けることがあります。つまり、多くの学生が見ているSNSに広告を流すことは学生の印象に残る一方で、ブランドイメージを低下させる可能性や、プロモーション費用よりもリターンが低くなる可能性があるのです。そのため、商品・サービス情報とともに話題性を取り入れながら学生自身に興味を持ってもらうことが必要になります。
そこで大学生にとって「良い広告」とは時間、ストーリー性、話題性、自身との関連性の4つの要素のうち、3つ以上の要素が含まれているものであると定義しました。この要素があることで広告の媒体や回数に関係なくより効果的な宣伝が可能になり、ブランドイメージを向上させることにも繋がると考えられます。
次の章では、時間、ストーリー性、話題性、自身との関連性の4つの要素のうち、3つ以上の要素が含まれている広告の実例を解説していきます。
Z世代に響く広告例
@サントリー食品インターナショナル
ペプシ ジャパンコーラ「#本田とじゃんけん2020」
https://www.suntory.co.jp/softdrink/news/pr/article/SBF0820.html
この広告はSNS上でのキャンペーンのために作成されたCMであり、YouTubeやX(当時はTwitter)のSNS、テレビなどを中心に流れていました。15〜30秒と短めの広告であり、クールなイメージの本田圭佑さんを起用することやじゃんけんの要素を取り入れることで、企業の挑戦へのストーリー性や話題性を訴求しました。このキャンペーンはSNSを始めとした多くの場所で反響を呼び、約400万人が参加する話題作となりました。
AKIRIN
プラズマ乳酸菌「SPECIAL STUDENT」
https://www.youtube.com/watch?v=Bj3fqb0qivM
この広告は少し長めのWeb広告ではありますが、独特な展開のストーリー性や、スローモーションも用いた話題性、誰もが経験したであろう内容を盛り込むことで自身との関連性を感じることができる広告になっています。この広告は公開後SNS上で大きく話題になり、テレビ等にも取り上げられるほど人気の広告になりました。
B朝日新聞
「君の名は。」地上波放送告知
https://www.pressnet.or.jp/adarc/ex/ex.html?cno=a1691&theme=C&nowic=0
この広告は普段学生があまり目にしない新聞広告ではありますが、裏と表の2面を照らし合わせると自身の手で物語のシーンが再現することができるというストーリー性、話題性にあふれた広告になっていました。この広告のアイデアやストーリーに共感の声がSNS上で多く上がり、世界トレンド1位を獲得しました。
まとめ
本記事では大学生のライフスタイルと広告について解説してきました。今回紹介した大学生のライフスタイルや広告の要素・実例は、あくまで1つの考え方であり、今後もオンラインの成長・普及にともなって、さらに多種多様なものになっていくと考えます。現在の社会では広告以外のプロモーション戦略も確立されつつあります。しかし、印象に残りやすく、消費者と身近なものである広告は残りつづけるのではないでしょうか。企業はZ世代が注目されている社会で、ライフスタイルや関心に合わせた効果的な広告を打つことが求められると同時に、その変化にも対応していくことが必要になってきます。
広告に正解はありませんが、本記事がそのヒントになれば幸いです。