ReActが実現する人間により近いAI回答
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近年、AIエージェントは様々な分野で活躍し始めています。その中でも特に注目されているのが、ReAct(リアクト)Reasoning and Actingという新しいフレームワークです。
本記事では、初心者から技術者までを対象に、ReActについて詳しく解説します。
AIエージェントとは
ReActを理解する上で、まず押さえておきたい重要な概念が「AIエージェント」です。
AIエージェントとは、人工知能を活用した自律的に判断し行動するシステムのことを指します。
これらのエージェントは、事前に定義された行動や判断基準を持ち、状況に応じて最適な行動を選択して答えを出します。
例えば、AIが使用可能な以下の定義があるとします。
- 地域名を与えるとその地域の降水確率を返す
- 地域名を与えるとその地域の天気を返す
ユーザーが「東京都の降水確率を知りたい」と質問した場合、AIエージェントは「1. 降水確率」の定義を使用し、「東京都」の降水確率を返します。
AIエージェントの基本的な動作フロー
- 質問理解: ユーザーの意図を解析
- 定義選択: 適切な定義や行動を選択
- 答えの生成: 選択した定義に基づいて答えを生成
AIエージェントについての詳細は、過去の記事『AIエージェントとは?人間のように応答する自律型AIをわかりやすく解説!』で詳しく紹介しています。
ReActフレームワークとは
ではReAct(リアクト)とは何でしょうか?
従来の生成AIは「質問に答える」「特定の指示をする」程度でしたが、ReActは一歩進んで、「考える(Reasoning)」と「行動する(Acting)」を交互に行うことで、より人間らしく柔軟に対応できるように設計されたフレームワークです。
例えば、料理を作る時の人間の行動を見てみましょう:
- 「お腹が空いたな」(考える)
- 「冷蔵庫を見てみよう」(行動する)
- 「この材料で炒め物が作れそうだ」(考える)
- 「材料を切り始めよう」(行動する)
このように、人間が自然に行っている「考えて行動する」のサイクルをAIに取り入れます。
ReActの動き
- 行動計画を作成する: ユーザーの質問を元に大まかな行動計画を作成します。
- 柔軟に問題を解決する: 計画に沿わない結果が得られた時は、方針を修正することができます。
- 人間らしい対話を行う: 質問内容が不鮮明な場合、ユーザーに追加の情報を求めることができます。
- 自律的な行動: 推論と行動を繰り返し最適な答えを自ら見つけ出します。
ReActの動き(具体例)
ここでは、「東京旅行のプランを作成したい」という依頼を例にして、ReActフレームワークがどんな風に動くかイメージしてみます。
- ユーザーの依頼: 「今週末の東京旅行のプランを立てて!」
- 大まかな行動計画: ホテル情報を調べる、ユーザーの好みや予算を確認、付近の観光スポットを検索
- 初回の推論(Reasoning): 最初の質問からはユーザの好みや予算がわからない → 好みや予算を聞かないとプランが立てられない!
- 初回の行動(Acting): ユーザの好みや予算を聞くことにする
- ユーザーの回答: 「予算5万円、寿司が食べたい!」
- 再度の推論・行動の繰り返し: 寿司店や観光地を検索し、条件を変えて再検索
当社の具体的な取り組み
当社では、ReActの考え方をいち早く取り入れたAIデジタルスタッフの開発および導入支援を行っています。
ReActを取り入れたことで、「お客様の予算や好みをヒアリングしながら、要望に合った商品を段階的に探し出す」ことができるようになりました。
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