JR西日本が会員基盤統合で新規構築した『DISCOVER WEST mall』の集客を効率化
地方と事業の成長をリアルとデジタルの両方から支えた取り組みとは
地方と事業の成長をリアルとデジタルの両方から支えた取り組みとは
JR西日本グループの掲げる志として、「人、まち、社会のつながりを進化させ、心を動かす。未来を動かす。」というものがあります。
社会全体として人口減少が進む中で、西日本の地域課題を解決するために出来ることは何かということを考えたときに、地域の成長なくしてJR西日本の成長もないという想いのもと、人と人、人とまち、人と社会をリアルとだけでなくデジタルの面でもつなぎ、西日本を中心に社会の課題を解決するためにEC事業に取り組まれています。
今回は西日本旅客鉄道株式会社の運営する「DISCOVER WEST mall(ディスカバーウエストモール)」について、ECサイト構築の背景やecbeingを導入していただいた理由、構築時のこだわりなどを西日本旅客鉄道株式会社 地域まちづくり本部 地域共生部 課長 内山 氏、西日本旅客鉄道株式会社 地域まちづくり本部 地域共生部 課長代理 一岡 氏、西日本旅客鉄道株式会社 地域まちづくり本部 地域共生部 吉田 氏にお話を伺いました。
左から
西日本旅客鉄道株式会社 吉田 奈央 氏
西日本旅客鉄道株式会社 内山 興 氏
西日本旅客鉄道株式会社 一岡 翔太郎 氏
JR西日本グループの掲げる志として、「人、まち、社会のつながりを進化させ、心を動かす。未来を動かす。」というものがあります。
社会全体として人口減少が進む中で、西日本の地域課題を解決するために出来ることは何かということを考えたときに、地域の成長なくしてJR西日本の成長もないという想いのもと、人と人、人とまち、人と社会をリアルとだけでなくデジタルの面でもつなぎ、西日本を中心に社会の課題を解決するためにEC事業に取り組まれています。
今回は西日本旅客鉄道株式会社の運営する「DISCOVER WEST mall(ディスカバーウエストモール)」について、ECサイト構築の背景やecbeingを導入していただいた理由、構築時のこだわりなどを西日本旅客鉄道株式会社 内山 氏、 一岡 氏、 吉田 氏にお話を伺いました。
西日本旅客鉄道株式会社 基本情報
<社名>
西日本旅客鉄道株式会社
<設立>
1987年
<資本金>
226,136百万円
<事業内容>
運輸業,流通業など
西日本地域に根差した地産品と鉄道関連の商品でお客様と出品事業者をつなぐ場に
『DISCOVER WEST mall』で取り扱う商品について教えてください。
内山氏:『DISCOVER WEST mall』で取り扱う商品は、大きく2種類あります。
1つは地域活性化にもつながる地域に根差した商品です。その中でも多くの人に知られ既に大量に売れているような商品ではなく、地域の人と私たちがともに「売りたい」と考える西日本エリアの地域の特色の濃い商品・地域の人でないと知り得ない商品が売れるECサイトを目指して生産者の方と交渉をおこない、今では西日本エリアを産地とする肉や魚、野菜、加工品などの食品類や、工芸品・雑貨、花などの多岐にわたる商品を取り扱うまでになっています。
もう1つは私たちの鉄道事業に関連した商品です。当社のキャラクターにまつわるものや、倉庫の中で長い間保管されていた、実際に乗務員や駅員が使っていた物品、かねてよりお客様から要望があったレアな鉄道の模型のほか、地方創生のために2017年に運行を開始した寝台列車『TWILIGHT EXPRESS 瑞風』ゆかりの逸品も取り扱っています。
私たちとお客様をつなぐキーワードの一つである「鉄道」に関する商品も取り扱うことで、DISCOVER WEST mallがお客様と商品を提供いただく事業者様の架け橋となるようにサイト作りをおこなっています。
事業成長のためになくてはならない地域の成長をECサイトで支える
ECサイト新規構築の背景ついて教えてください。
内山氏:弊社のEC事業は、2010年の中期計画見直しをもとに繰り返し挑戦してきた事業になります。
1度目のECサイトは海外向けに制作しました。当時はまだ海外の市場に向けEC事業を展開する企業は少なく、他社に先立ってチャレンジをおこなった形になります。2度目のECサイトは海外だけでなく国内市場も視野に入れ取り組み、パイの拡大を図りました。
この2回のEC事業の挑戦はいずれも私たちだけの経済的価値の向上、成長を考えて取り組んだものであり、結果としてうまくいかずに2サイトとも閉鎖することとなってしまいました。
ここで考えを改め、私たちの成長のために何が必要かということを見つめなおしたとき、JR西日本の成長には私たちを支えてくださる沿線地域の成長も欠かせないという考えに至りました。そのため、3回目のEC事業はこれまでとは異なる指針で取り組むこととなりました。
今回ecbeingさんと新しく構築した『DISCOVER WEST mall』は、地域の課題解決を事業方針に組み込みつつ、持続可能な事業となるように始めたECサイトになります。2022年の3月にオープンして以来、販売商品の開拓や生産者との関係づくりなど、外部の力に頼るのではなく私たち自らがプレイヤーとして動くことで、これまでうまくいかなかった2回のEC事業とは違う成果を出すことが出来ると考えています。
どのような点からecbeingの導入を決めたのかを教えてください。
吉田氏:私たち鉄道会社がまず初めに担保しなければいけないのは、お客様の安全と安心です。それは鉄道事業だけでなく、EC事業にも当てはまるものだと考えています。
ecbeingさんはセキュリティ面において他社よりも優れており、一番高いレベルで私たちの要求に応えていただけたということが最も大きい要素でした。また、それだけでなく長年にわたる豊富な構築実績から私たちの課題に対する解決策の提示や、JR西日本としておこなっていきたいサイト運営を実現するための私たちにフィットした提案、高い能力を持つ開発の方との多面的なコミュニケーションなどを含め将来性を考えた際に、ecbeingさんに構築を依頼するのが一番だと考えecbeingの導入を決定しました。
リアルとオンラインの融合でお客様が楽しめるECサイトに
ECサイトを成功させるためDISCOVER WEST mall構築時にこだわった点について教えてください。
内山氏:リアルとオンラインを別物だと考えるのではなく、それぞれの価値を融合させることが、これまで150年以上にわたって地域や旅の魅力をリアルで提供し続けてきた鉄道としては重要と考え、サイト内にその想いを反映させました。具体的には、取り扱う商品が西日本のどの地域で、どういった背景で紡がれてきたものかの説明を商品ページでおこなっています。
ecbeingさんとDISCOVER WEST mallを構築するにあたって、同様の想いをもってECサイトを構築する他社様のECサイトを構築した知見なども展開頂けたので、強力なパートナーとして力を合わせて進められたのが成功につながる下地作りの重要なポイントだったと思います。
吉田氏:ECサイトは商品だけにフォーカスされることが多いですが、DISCOVER WEST mallはそれだけではありません。まだまだ成長途中ではありますが、単なるECサイトにしないために、弊社ならではの列車や、そこから見える風景などをサイトの中に反映させています。生産者の顔や生産時の風景を伝えることで、お客様が旅行に行ったときの思い出をサイト内でも想起させられるようにしています。
ご活用いただいている機能やツールについて教えてください。
吉田氏:流入を増やし、そこからコンバージョンまでつなげるためにecbeingさんの提供するマイクロサービスであるInstagram活用ツール『visumo』とレビュー最適化ツール『ReviCo』を構築時に導入しました。
visumo(ビジュモ)とは…
Instagram・Twitterのユーザー投稿、スタッフによるコーディネート例や接客コメント、LIVE配信動画やIGTV、Youtubeなどの動画などをECサイトに埋め込み、コンテンツを充実させることができるビジュアルマーケティングプラットフォーム。
visumoについて詳しくはこちら >
ReviCo(レビコ)とは…
良質なレビューをカンタン収集し、運用負荷なくEC購入率大幅アップできる“自走する”レビューマーケティングプラットフォーム。
ReviCoについて詳しくはこちら >
導入から1年たち、お客様のお声が蓄積されてきていますが、好印象なお褒めの言葉を多くいただいており、購入を検討しているお客様にもプラスに働いていると感じています。VOCとして活用できるコンテンツなので、ただ収集するのではなく、今後はマーケティングに活かしていこうと考えています。
吉田氏:今年の5月には顧客接点を構築するために同じくecbeingさんが提供する『Sechstant CDP』というデータ分析ツールを導入しました。リアルの店舗は、スタッフが接客をするため、どのようなお客様がどんなお困りごとや目的を持ち商品を購入されたのかを知ることが出来ます。しかし、ECサイトは店舗と違い注文がすべてであり、どのようなお客様がどのような想いで商品を購入しているかが分かりません。お客様の想いを理解するためにもSechstant CDPを活用し、お客様との関係を構築することで最適なアプローチをおこない満足してご利用いただけるECサイトとなるように取り組んでいます。
Sechstant CDP(ゼクスタント)とは…
EC、実店舗の顧客・購買データ、アクセスログを外部ストレージに蓄積、数値を可視化することで、これまで見えてこなかった総合的なマーケティング分析が簡単に可能。施策立案の最適化、売上向上に寄与いたします。
Sechstantについて詳しくはこちら >
JR西日本グループの会員基盤を活用し新規構築したECサイトへの集客を効率的に実施
DISCOVER WEST mallを多くの方にご利用いただくためにおこなった取り組みを教えてください。
一岡氏:より多くのお客様に簡単にDISCOVER WEST mallをご利用いただけるようにするため、JR西日本グループの会員基盤であるWESTER会員とDISCOVER WEST mallの会員を統合しました。ECサイトを利用していただくお客様を新しく探すのではなく、既にJR西日本のサービスを利用していただいているお客様にサイトに訪れていただくことで、0から立ち上げたECサイトであっても効率的に集客をおこなえるようにしています。
※WESTER会員・・・鉄道事業の会員やショッピングセンターの会員、J-WESTカード会員などのJR西日本グループの事業基盤となる約600万人の会員
構築時に苦労されたことについて教えてください。
内山氏:これまでと全く異なる方針でECサイトを新規で構築したため、販売する商品を1からそろえなければいけなかったことが何より大変でした。オープンの2年ほど前から販売させていただける商品を集めるために動き始め、JR西日本としてお客様に求められる高いサービスレベルをクリアするために注力しました。
サイトのデザイン面でも苦労しました。ecbeingさんとコミュニケーションをとりつつ、JR西日本が提供している情報誌などのリアル媒体とECサイトのデザインに連続性を持たせ、どうすればECサイトもリアルと同じようにみていただけるかを考えデザインを決定するなど細かに調整をおこなってきました。
吉田氏:ECサイトをあるべき姿にするため、私たちのやりたいこととお客様の求めるものは何かを考え、ECサイト上で実現させることが大変でした。
このECサイトのあるべき姿を実現するにあたってはecbeingの開発の方にはとてもお世話になりました。DISCOVER WEST mall以外で会員となったお客様をどのようにしてDISCOVER WEST mallに誘導するか、私たちの考えている導線は本当にお客様が分かりやすいと感じる導線なのかなど、どうすればお客様に心地よくECサイトをご利用いただけるか、システム構築を担う開発の枠を超えた知見で多くのアドバイスをいただき、心強い味方としてECサイトの構築を支えていただきました。
今後のサイトの展望について教えてください。
内山氏:生産者と商品を購入いただくお客様を第一に考えつつ、当社としても売上を増加させられるようにすることが次の私たちの目標です。
構築からの1年は、ひたすら商品数を増やすことに注力してきました。これからの2年目以降は、まずは、お客様により期待される「地域」と「鉄道」を包括するような商品を並べていきたいと考えています。お客様が経験した旅をECサイトで思い起こし、当時の感動を改めてお届けできるような商品を提供することで、他社のECサイトではなく弊社のECサイトを好んでご利用いただけるようにしていきたいです。
その先には、「西日本のファン」を増やし、西日本地域の活性化に貢献していきたいと思います。
サービスを検討している方へ、一言お願いいたします。
吉田氏:ecbeingは、最大手ならではの提案力、ECに特化した高レベルのセキュリティ、1600社を超える豊富な他社事例、開発の方の高い能力などお勧めするポイントは多くあります。他社には実現できないことを実現可能なプラットフォームだと思いますので、ECサイトを構築したい、リニューアルしたいと考える方はまずはecbeingに相談してみてはいかがでしょうか。
内山氏:JR西日本が持つ細かなこだわりや、運輸業界の事情などで高い要求をすることもありますが、私たちの価値観に寄り添って対応していただけています。そういった面でecbeingさんは長期でお付き合いをし、ECサイトを成功させることを考えた場合、最適なパートナーであると私は思っています。
――
西日本旅客鉄道株式会社
内山 興 氏
西日本旅客鉄道株式会社
一岡 翔太郎 氏
西日本旅客鉄道株式会社
吉田 奈央 氏
DISCOVER WEST mallはこちら
●取材・文:大川 智暉