無料の画像生成AIサービス5選!ビジネスでの活用事例や注意点

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画像生成AIの登場によって、現代のビジネスは変化しつつあります。学習用データと指示を与えるだけで、画像・イラストを短時間で製作できるようになったため、導入範囲によっては大幅な効率化やコスト削減につながります。

すでに実用化されている画像生成AIは、どのような業務をサポートしてくれるのでしょうか。本記事では、画像生成AIを導入できる範囲や効果、無料で利用できるサービスなどを紹介します。

画像生成AIとは?

画像生成AIとは、テキストによる指示によって自動的に画像を生成してくれるAIです。生成系AIの一種であり、たとえば「子どもの面倒を見る人」と指示をした場合は、一般的な親子や保育士などの画像(またはイラスト)が出力されます。


通常の画像生成AIには、「ディープランニング」と呼ばれる深層学習のアルゴリズムが搭載されています。すでに学習したデータから、テキストの指示と合致した特徴を自ら探しだし、それを組み合わせながらオリジナルの画像を生成する仕組みです。


画像生成AIのアルゴリズムは日々進化しており、現在では正解となるデータを与える「教師あり学習」のほか、AIに自ら考えさせる「教師なし学習」と呼ばれる仕組みも登場しています。


画像生成AIでできることと活用事例

一般的な画像生成AIには、次のような機能が備わっています。


・オリジナルの画像やイラストの生成

・背景やモデル(人物)の自動生成

・指定した外観や機能などの反映

・自動生成した画像と、指定した画像の合成

・テキストのグラフ化やチャート化


これらの機能は、主にどのようなビジネス分野で役立つのでしょうか。ここからは、画像生成AIの活用事例を紹介します。


商品写真の大量製作

背景やモデルの自動生成は、商品画像の大量製作に役立つ機能です。たとえば、ECサイトの商品画像を事前に学習させると、雰囲気の合う背景やモデルを生成するだけではなく、配置や大きさまで調整してくれます。


また、商品の特徴やターゲットを伝えた場合は、さらに訴求力の高い画像を出力してくれる可能性があります。画像生成AIは指示の内容を理解しつつ、要望にマッチする画像を短時間で生成するため、事業との相性次第では大きなコスト削減につながるかもしれません。


このような特性を活かして、当社ではプレゼンテーションの表紙や挿絵に画像生成AIを活用しています。


ウェブデザイン

画像生成AIはさまざまな画像サイズに対応しているため、ウェブデザインにも活用できます。主な活用範囲としては、ヘッダー画像や各コンテンツのサムネイル画像、ロゴの製作などがあるでしょう。


ツールによっては、テキストの内容をグラフやチャートで視覚化することも可能です。また、事前にウェブサイトの特徴を伝えて、トップページ全体のデザインを提案させるような使い方もあります。


バナーや広告の製作

マーケティングに活用するバナーや広告も、画像生成AIが製作をサポートしてくれる分野です。ユーザー属性などをテキストで伝えると、ターゲットに訴求しやすいバナーや広告を生成してくれる可能性があります。


実際に、AIの生成画像をウェブ広告に採用したところ、クリック率が2倍近くまで増えた例も存在しています。その上、バナーなどの製作コストが削減されるため、画像生成AIにはマーケティングの費用対効果を上げる効果も期待できます。


プロダクトのモデル画像作成

画像生成AIは、形になっていないアイデアを具現化することも得意分野です。たとえば、プロダクトに搭載したい機能や外観などをテキストで伝えると、学習したデータをもとにモデル画像を生成してくれます。


アイデアが視覚化されれば、構想中のプロダクトが抱える改善点を見つけやすくなるでしょう。具体的な機能が思いついていなくても、「安全性が高い」「片手で操作できるサイズ」といった特徴を伝えるだけで、意図を汲み取ってくれることもあります。


また、専門のデザイナーに依頼する場合とは違い、細かい情報共有や打ち合わせなども必要ありません。


画像生成AIの無料サービス5選

画像生成AIはすでに実用化されており、無料の範囲でもさまざまなサービスが見られます。ただし、サービスによって仕様や対応できる業務は異なるため、目的に合ったものを選ぶことが重要です。


ここからは比較検討したい方に向けて、無料で利用できる画像生成AIサービスを紹介します。


1.Microsoft Designer

マイクロソフト社が提供する、生成系AIの「Dall-E 3」が搭載されているサービスです。クリエイターによる利用が想定されており、出力された画像をウェブ上のツールで編集できるのに加えて、テキストでの修正指示もだせます。


アカウントごとにクレジットが付与され、クレジットがなくなるまでは無料での画像生成や編集、ダウンロードが可能です。有料プランにあたる「Microsoft Copilot Pro」に申し込むと、1日あたり100クレジットが付与されます。


<Microsoft Designerの概要>
提供会社
Microsoft社
無料で使える範囲
テキストによる指示、画像の編集、ダウンロードなど
有料プランの料金
月額3,200円
有料プランの内容
毎日100クレジット付与、GPT-Turboへのアクセスなど
商用利用
不可
公式サイト

本サイトを運営する当社は、マイクロソフト社の「生成AI事業化支援プログラム」に参画しております。公式サイトにはパートナー企業として掲載されており、本プログラムで毎月開催される月次イベント「Columbus DAY」にも参加させて頂いております。


参考:Microsoft「Azure OpenAI Service リファレンスアーキテクチャ


マイクロソフト社はさまざまなAIイベントを主催しており、2024年4月には3,000名規模の「Microsoft AI Tour Tokyo」が開催されました。引き続き、当社もイベント等への参加を通して、生成系AIの最新技術やトレンドを収集していきます。


参考:Microsoft「その熱狂が、世界を変える。Microsoft AI Tour  開催レポート・基調講演のご紹介


2.Canva AI

OpenAI社のDALL-EやGoogle社のImagenなど、多様なAIが搭載されている画像生成AIサービスです。もともとは豊富なテンプレートが用意された画像編集サービスであり、生成されたデータをそのまま編集できます。


無料プランでは毎日4クレジットが付与され、画像生成をする度に1クレジットが消費されます。


<Canva AIの概要>
提供会社
Canva社
無料で使える範囲
使用するAIの選択、テキストでの画像生成、画像編集など
有料プランの料金
年額11,800円
有料プランの内容
無制限のテンプレート使用、ワンクリックでの背景削除など
商用利用
可能
公式サイト
Canva「生成AI

3.MyEdit

風景や人物、イラストなど、さまざまな画像生成に対応しているサービスです。思いついたアイデアを入力すると、搭載されているAIが情報を整理・分析し、JPEG形式で画像を出力してくれます。


無料プランでは1日3回までの生成となりますが、有料プランでは生成回数が無制限になります。


<MyEditの概要>
提供会社
CyberLink社
無料で使える範囲
1日3回までの画像生成、一部の編集機能など
有料プランの料金
月額580円
有料プランの内容
毎月300クレジット付与、編集ツールの機能追加など
商用利用
可能
公式サイト

4.Akuma.ai

作成したい画像をテキストで入力すると、一度に4枚の画像が生成されるサービスです。現実に近い人物画像のほか、漫画やアニメのようなイラストにも対応しています。


ベースとなるモデル画像を選択すると、雰囲気が近い画像を出力する機能も備わっています。


<Akuma.aiの概要>
提供会社
Kinkaku社
無料で使える範囲
毎月25枚までの画像生成、モデルの選定、簡易的な編集など
有料プランの料金
月額10ドル〜
有料プランの内容
毎月300クレジット以上の付与、画像の保存機能など
商用利用
可能
公式サイト

5. SeaArt

無料プランでも、毎日150枚までの画像をAIが生成してくれるサービスです。写真のようにリアルな人物画像が得意分野であり、ベースとなる豊富なモデルが用意されています。


なお、生成する画像によって消費クレジットが異なるため、有料プランへの切り替えが必要になることもあります。


<SeaArtの概要>
提供会社
STAR CLUSTER社
無料で使える範囲
1日200枚までの画像生成、豊富なモデル画像の選定など
有料プランの料金
月額2.39ドル〜
有料プランの内容
毎日300クレジット付与、画像生成の高速化など
商用利用
可能
公式サイト

ビジネスで使える画像生成AIサービス

有料のサービスを利用すると、生成される画像や対応できる業務範囲はどのように変わるのでしょうか。以下ではビジネスで利用できるものを中心に、有料の画像生成AIサービスをまとめました。


1.Stable Diffusion

画像に加えてビデオや3Dのモデルが搭載された、ローカル版も展開されている生成AIサービスです。複雑なプロンプトを処理する機能があり、画像内に明確なテキストを載せられます。


イメージから3Dモデルを生成したり、APIでほかのシステムと連携したりなど、画像出力以外にもさまざまな活用方法があります。


<Stable Diffusionの概要>
提供会社
Stability社
料金
月額20ドル〜(無料プランあり)
主な特徴
明確なテキストを掲載可能、画像から3Dモデルを生成など
商用利用
可能(※プランによって範囲が変わる)
公式サイト

2.Midjourney

コミュニケーションツールのDiscord上から、生成する画像を指示できるサービスです。高品質な画像を生成してくれることから、ウェブや広告のデザイン、プロダクト開発、アート作品などにも活用されています。


プランに応じてGPU(高速処理用の装置)の使用時間が決まっており、基本プランでは毎月3.3時間までGPUによって画像生成されます。


<Midjourneyの概要>
提供会社
Leap Motion社
料金
月額10ドル〜
主な特徴
高品質な画像の生成、GPUによる高速処理など
商用利用
可能
公式サイト
Leap Motion「Midjourney

3.Adobe Firefly

著作権が切れたものなど、権利関係が明確な学習用データのみを使った画像生成AIです。ほかのAdobe製品との連携機能があり、たとえば生成した画像をPhotoshopで編集するような使い方があります。


モデル画像の生成からデザインまでを一本化できるため、業種によっては作業を大幅に効率化できます。


<Adobe Fireflyの概要>
提供会社
Adobe社
料金
月額680円〜(無料プランあり)
主な特徴
Photoshopなどとの連携、100GB以上のクラウドストレージなど
商用利用
可能
公式サイト

画像生成AIサービスの注意点

画像生成AIサービスの使い方を誤ると、イメージに近い画像が出力されなかったり、予期せぬトラブルに発展したりするリスクがあります。仮にビジネスで活用する場合は、どのような点に注意すればよいでしょうか。


著作権や肖像権の侵害リスク

AIが生成した画像には、著作権や肖像権の侵害リスクがあります。


特に注意したいのは、学習用データ(画像)に著作物などが映りこんでいる場合です。たとえば、もとの画像に他社の商標やロゴが映っていると、出力する画像にそのまま使われてしまう可能性があります。


ただし、著作権や肖像権のルール自体は、人の手で作成する画像と変わりません。既存の権利を侵害しない限りは、トラブルに発展するリスクは低いと判断できるでしょう。著作権については、2023年に文化庁が公表した資料「AIと著作権」にも、同様の解釈が記載されています。


参考:文化庁「AIと著作権


主な対応策としては、著作権フリーの題材を学習用データに使う、アップロード前の確認を徹底するなどの方法が考えられます。著作権・肖像権の侵害にあたる可能性がある場合は、権利の所有者から許諾を得ることが重要です。


内容によっては真偽の確認が必要

画像生成を含む生成系AIは、常に正しい情報を出力するわけではありません。使用する学習用データや指示内容によっては、誤った情報が画像に載ってしまう可能性があります。


そのため、テキストや数値のデータなどを画像化する場合は、人によるファクトチェックが必要です。疑わしい部分は修正する必要があるため、画像編集ができる体制は整えておきましょう。


プロンプトの仕様を確認する

生成系AIにおけるプロンプトとは、ユーザーによる指示・注文・質問のことです。サービスによってプロンプトの仕様には違いがあり、たとえばテキストでしか指示ができないものや、データを添付できるものなどがあります。


プロンプトの仕様は、サービスの使いやすさや生成物のクオリティに関わる要素です。そのため、事前にどのような使い方(指示のだし方)をするか考えておき、目的に合った仕様を選ぶ必要があるでしょう。


サービスによっては英語で指示をだす必要があるため、日本語に対応しているかも確認したいポイントです。


画像生成AIは目的に合ったサービスを選ぼう

画像生成AIはさまざまな業務をサポートしてくれますが、その仕様はサービスによって異なります。仮に無料のサービスだったとしても、修正やファクトチェックに時間がかかるようでは目立った効果が期待できません。目的に合ったサービスを選ぶことが重要になるため、有料の画像生成AIも含めて導入するものを検討してみましょう。


ECサイト構築に取り組む当社は、さまざまな生成AIを開発するマイクロソフト社と協業しています。主にAI分野での支援を受けながら、新たな事業創出や技術的な連携、イノベーションにつながる製品開発などに取り組んでおります。


2024年4月には、マイクロソフト社とASCII社が主催する「AI Challenge Day」にも参加させて頂きました。本イベントは、マイクロソフト社のパートナー企業である10社が、”世界遺産トラベルアシスタント”をテーマにアイデアを競い合うAIコンテストです。神戸のMicrosoft AI Co-Innovation Labsで開催され、当社は5人のチーム(ecbeing社2名・ソフトクリエイト社3名)で参加いたしました。


AI Challenge Dayの詳細については、下記のブログでレポートを公開しております。また、コンテストの内容はYouTubeLiveのアーカイブにも残しておりますので(当社の発表は1:11:40頃から)、ご興味のある方はぜひご覧ください。


参考:生成AIコンテスト「AI Challenge Day」参加レポート! - ecbeing labs(イーシービーイング・ラボ)


映像:(47) 生成AIはどこまで乗りこなせるのか⁉️ ASCII×マイクロソフト生成AIコンテスト中継 - YouTube





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